《襍草・/・古往今来130》檜扇

《襍草・/・古往今来130》檜...

ヒオウギ(檜扇)    アヤメ科(Iridaceae)
学名:Belamcanda chinensis DC. (Iris domestica)

檜扇、檜の薄片を扇状に合わせた板扇で宮中の儀式に使われていた。
其の姿に似ていることから花名になった由。
ピンク色のヒオウギの花があるらしいが、実際に見たことはない。
日本名でシャガ Iris japonica というと射干(シャカン,shegan)を指す。
これは、音の訛りでの命名だが、漢名の射干は このヒオウギを指す。

この花、ヨーロッパアルプスの麓でも見られた。
我が長男が4歳の初夏、ドナウ川の源泉と称される場所を訪ねた。
ドナウ川の始まりの町として知られるドナウエッシンゲン。
町の城郭(城館か)近くにドナウの泉と呼ばれる小さな泉がドナウ川の源泉と称されている。
地理学上のドナウ川源泉は、シュヴァルツヴァルト地方、フルトヴァンゲンにある。
ドナウの泉に関心を持ったきっかけは、斎藤茂吉の随筆を読んだ時。
その昔、オーバードナウを旅した斎藤茂吉は『滞欧随筆』に記録を綴っている。
それと同じくして、『霜』(1942,齋藤茂吉)の中に、
「あるときは庭におりたち射干(ひあふぎ)の人工授精われ為したりき (八月十日)」
 射干の萎まむとするゆふまぐれ底ごもりして鳴神(なるかみ)きこゆ
 九月になれば日の光やはらかし射干の実も青くふくれて (初秋小吟)
ここに表れている射干(ひあふぎ)は、どんな花だろうと思っていた。
単に学習不足であっただけだが、「ベラムカンダ・キネンシス」!?!
が射干でありヒオウギだと知り、西欧にも自生してると知った。
茂吉翁が記した、射干(ひあふぎ)はドイツでは見つからなかったが、
スイス・サンモリッツ近くのシルヴァプラウナ湖畔で見つけた。

日本を代表する祇園祭、この祭り期間、京都の至る所でヒオウギが飾られている。
この風習は、ヒオウギで悪霊退散したことから厄除けの花として飾られるようになった。
祇園祭は、元々、疫病流行させている怨霊の怒りを鎮めるために始められた由。
それ故に、悪霊退散に使われたヒオウギは欠かせない植物となったらしい。

現在の日本に最も必要な花と映る。  

8月07日誌「2012年8月2日箱根仙石原」
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