7月
13日,
2021年
最近、耳にする「ナッジ」を皆さんはどう感じますか?
昨日に引き続き、今日も「ナッジ」の補足をします。
ナッジとは、大阪大学大学院経済学研究科の大竹文雄教授によると
「一人ひとりが自分自身で判断してどうするかを選択する自由も残しながら、人々を特定の方向に導く介入」
例えば、ある手術を行うかどうかについて、次の情報が与えられた時、あなたは手術をすることを選択しますか?
A「術後一ヶ月の生存率は90%です」
では、次の情報を与えられた時は、あなたの選択はどうだろうか?
B「術後一ヶ月後の死亡率は10%です」
ある研究によると、Aの場合なら約80%の人が手術をすると答えたが、Bの場合なら約50%の人しか手術すると答えなかった、とのこと。
よく文章を読めば、AもBも情報としては全く同じ内容です。しかし、損失を強調したBの表現の場合には、手術を選びたくないと考える人が増える、というのです。
政策担当者がナッジに注目するのは、金銭的インセンティブを使わず、そして税金も掛からず低コストであること。そして行政運営の手間も省けるということで導入がしやすい利点があるからである。
しかし反面、問題もあります。
それは、上記の手術に関わる情報で皆さんも気が付いたように
「何か騙されている」「政府に誘導されている」
と感じさせるからです。
ここで更に興味深いのは、誘導されていると感じる度合いは、国によって異なるということが調査で分かったようです。
これについて調査・分析したのがこの著書、「データで見る行動経済学」です。米国やヨーロッパ諸国の調査結果が披露されていますが、ここでは日本の状況だけ、ごく簡単に触れておきます。
大雑把に述べさせて頂くと、米国やヨーロッパ諸国に比べて、
日本は、ナッジへの支持率が低い。
一方、中国と韓国は総じて賛成率は高い、とのこと。
例えば、支持率の低いナッジの実例としては、
「健康に良い食品かどうかを赤・黄・青の交通信号形式で表示することを義務付ける」
という情報提供型ナッジがあります。日本以外の国では約80%の人がこのナッジに賛成するようですが、日本では55%しか支持しない、とのこと。
日本人がナッジを支持しない理由は、まだ完全には解明されてはいませんが、一つの理由として挙げられているのは、政府への信頼が低いから、とのこと。
さもありなん、という印象ですね!
今後も色々な形で、「ナッジ」を活用した各種政策が出される可能性があります。従って、少し注意深く見て行く必要がありそうです。
ではまた明日!
by 「働くあなたを元気にする」コーチ
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