シアトルの警察官によるパンチ
6月
18日
事件は今週の月曜日に起きた。近くに歩道橋があるにもかかわらずシアトルの交通量の多い道路を横断した19歳の女性に対し、警察官がジェイウォーク(歩行者横断禁止違反)として拘束しようとしたところ、この女性が物理的に抵抗して警察官ともみあいになり、付近にいた17歳の女性が加勢して警察官につかみかかったので、警察官がこの女性の顔にパンチを食らわせた。この様子はビデオに録画されておりテレビで放映された。
パンチしたところだけを取上げれば警察官の過剰防衛にも見えるものの、わめき散らしながら激しく逮捕に抵抗する19歳の女性と、警察官と同じくらいの体格の17歳の女性が警察官を強く押すシーンを見ると、必ずしも過剰防衛とは言えないが、警察官が若い白人男性、女性が2人とも黒人ということで大きな話題になっている。
たかがジェイウォーク程度の行為がシアトル警察を揺るがす問題に発展したわけだが、新聞報道によればこの現場付近ではジェイウォークにより5年間に61件の交通事故が発生しており、取締りの重点地域に指定されていた。
ジェイウォークのような軽犯罪の取締りは一見無駄なようにも見えるが、犯罪社会学ではBroken Window Theoryと呼ばれる治安維持の一環であり、この理論はニューヨーク市でジュリアーニ市長が実践し、ニューヨークの治安を画期的に改善した例がある。駐車違反、落書き、ゴミのポイ捨てなど些細な違反行為を厳しく取締ることにより住民のモラルが向上し、重大犯罪の抑止につながるのだ。
異民族が一緒に生活しているアメリカでは警察官は自分とは異なる人種の住民を取締る際には人種差別に対する注意が必要であり、日本の警察官に較べご苦労なことである。
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