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くまごろうのサイエンス教室『地球の大気』

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私たちが住んでいる地球の周りには空気があり、動物は空気中の酸素を呼吸して生命を保っている。また、空気中に酸素があるから燃料を燃やすことが出来、炊事したり、暖をとったり、更には電気、鉄道、自動車、通信など文明の利器を使うことが可能となる。

空気とは地球の表面近くにある大気のことであるが、一般的に大気とは惑星の重力によりその周りを取り巻いている気体をさす。太陽系では、水星には重力が弱いため自身で形成する大気はほとんどなく太陽風の成分である水素やヘリウムによるごく薄い大気層が、金星には二酸化炭素を主成分とし、わずかに窒素を含む濃厚な大気が、火星には二酸化炭素を主成分とし、わずかな窒素とアルゴン、それに微量の水蒸気や酸素を含むごく薄い大気層が、また木星と土星には原始太陽系星雲の理論的構成に近い比率の水素とヘリウムを主成分とする大気がある。

地球の地表から高度約500kmまでの大気のある空間を大気圏、大気圏の外側を宇宙空間と呼ぶ。地球大気は地表から80〜90kmまでは均一で窒素78%、酸素21%、アルゴン0.9%、二酸化炭素0.04%などにより構成されている。それより高度が増すにつれ分子量の多いものから減少し、170km以上では酸素が主成分となる。

高緯度地域では地表から高度約10km、赤道付近では高度約17kmまでの空間は対流圏と呼ばれ、大気が垂直方向、水平方向に活発に移動している。対流圏では高度が増すにつれ気圧が低下して空気が断熱膨張するため、100m上昇すると気温が平均0.65℃の割合で低下し、対流圏最高部(対流圏界面)では気温が-70℃位まで低下する。

太陽からの輻射熱により海や地球表面から水が蒸発するため、対流圏の大気には多量の水蒸気が含まれている。水蒸気は高高度で気温の低下により凝縮し、雲が出来る。水の蒸発、凝縮、雲の形成、降水を水循環と呼ぶが、気象現象のほとんどが対流圏における水循環によって生じている。雲は地球から水蒸気が宇宙空間に放散されることを防ぐとともに、地球の表面を覆って太陽光を吸収・反射し、地球をある程度冷却する役割をもっている。雲の中でも強い上昇気流によって生じる積乱雲はもっとも高い高度に達し、対流圏界面にまで達することも珍しくない。ジェット旅客機の巡航高度は約10,000mだが、積乱雲はたびたび航空機の障害物となる。

対流圏ではいくつかの大気循環が起こる。熱帯地域で太陽熱により温められた大気は上昇し、そのために赤道低圧帯が形成される。上昇した大気は対流圏で冷却され、北緯または南緯30度付近で下降流となって中緯度高圧帯を形成し、地表では赤道低圧帯に向かって流れる。これに地球の自転による慣性力が加わるため、地表では北半球では北東の風、南半球では南東の風となる。このような大気の循環をハドレー循環、それによって起こる地表付近の風を貿易風と呼ぶ。

また北極や南極では太陽高度が低く気温が低いため、大気は下降して地表に向かい極高圧帯を形成する。極の上空では相対的に気圧が下がるため緯度60度付近で上昇した大気が流れ込み、その結果大気が上昇した付近には高緯度低圧帯が発生し、地表付近では極高圧帯から高緯度低圧帯に向けて風が吹き、極循環と呼ばれる大気の循環を形成する。極循環の地表付近での風は貿易風と同様地球自転による慣性力が加わって北東(北半球)または南東(南半球)の風となり極東風と呼ばれる。

前述のハドレー循環により中緯度高圧帯の地表に達した大気の一部は高緯度低圧帯に向けても流れるが、この風は地球自転の影響により西風となり、偏西風と呼ばれる。偏西風は気圧配置や極の寒気により蛇行しつつ地球を一周する。また偏西風は緯度が20-60度における天候を左右する。偏西風上層にはジェット気流と呼ばれる風が吹いており、ジェット気流は冬季に強く最大風速が時速360kmに達する。現代のジェット旅客機は東に向う便ではジェット気流を利用することによりより早く飛行することが出来る。

対流圏の上にある11〜50kmの大気層は上へ行くほど気温が高くなり、この領域を成層圏と呼ぶ。対流圏の成層圏と接する部分である対流圏界面では気温が-70℃前後であるが、成層圏上部では-15℃から0℃程度である。成層圏で気温が上昇するのは、成層圏に形成されるオゾン層が太陽からの紫外線を吸収し加熱されるためである。ちなみに地球大気のオゾンはほとんどが成層圏に存在するが、オゾンは大気中の酸素分子が紫外線により解離して酸素原子となり、酸素分子と結合することにより生成する。このオゾン層により太陽から来る有害な紫外線の多くが吸収され、地上の生態系が保護されている。20世紀になってから冷凍用冷媒などに使用されるフロンガスや、化石燃料の燃焼に際し発生する窒素酸化物がオゾン層を破壊することが明らかとなり、その結果紫外線の地表への照射量が増大することを危惧してフロンや窒素酸化物の発生が国際的に規制されている。

成層圏ではその名称とは異なり、対流圏ほどではないが大気の流れがある。対流圏界面に隣接する成層圏下部では対流圏での気流の影響を受け同じような大気の流れがある。成層圏下部を除く領域では、白夜となる極付近では太陽による日照時間が長いためオゾン層によって暖められて高圧となり、極から離れた部分では相対的に低圧となる。この圧力差による気流に地球の自転による慣性力が作用して、夏を迎えている半球では東風が吹き、これは成層圏偏東風と呼ばれる。逆に冬は極付近には日照がほとんどないため低圧となり、低緯度から吹き込む気流により成層圏偏西風が生じる。

地球表面から50〜80kmの領域は中間圏と呼ばれ、この部分では高度とともに気温が減少する。成層圏にはオゾンが存在し太陽からの紫外線によって発熱するが、中間圏では高度とともにオゾンが減少するためである。中間圏最上部を中間圏界面と呼ぶが、平均気温は-90℃程度である。

中間圏の外側の高度80〜800kmの領域は熱圏と呼ばれ、高度とともに気温が上昇する。この領域における大気の成分である窒素や酸素が太陽からの電磁波や電子のエネルギーを吸収してイオンと電子に電離するためである。熱圏では気温が2,000℃程度まで上昇するが、分子の密度が極めて低いため、大気から受ける熱量は小さく熱さは感じられない。ちなみに国際宇宙ステーションは高度約400kmを飛行しており、これは熱圏の領域となるが、高熱による問題は発生しない。熱圏で電離したイオンや電子は電離層を形成し、地表からの電波を反射する性質を持つため、この電離層を利用して電波による遠距離通信が可能となる。電波は波長が長いほど電離層で反射されやすく、ごく波長の短い電波は電離層を通過するので、人工衛星や宇宙との通信に利用することが出来る。

地球大気の領域ではないが、熱圏のはるか外側には磁気圏と呼ばれる領域がある。太陽は高温の電離した水素やヘリウムによるプラズマである太陽風を放出しているが、太陽風が直接地球に到達すると生態系に甚大な被害を及ぼす。幸いにも地球には地磁気があり、これが磁場を形成して太陽風が地球に降り注ぐことを防いでいる。太陽風と地磁気がバランスすることによって形成される空間が磁気圏で、太陽に面した側すなわち昼の部分では高度約60,000km、夜の側は磁気圏尾部と呼ばれ高度100万km以上にも引き伸ばされている。極地で見られるオーロラは磁気圏尾部に侵入した太陽風が磁力線に沿って加速され、極地の大気と衝突することによって引き起こされる。
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