くまごろうのサイエンス教室『小惑星の衝突』
2月
16日
今からおよそ6、550万年前に直径約10kmの小惑星が中央アメリカに衝突し、それが原因でそれまで繁栄していた恐竜が絶滅したと言われている。この小惑星は水深の浅い海に衝突し、その衝撃で海水は吹き飛び、海底に直径180km、深さ30kmのクレーターが作られ、超巨大地震が発生し、周辺の陸地では大火災が発生したと考えられている。成層圏にまで舞い上がった土砂などのちりが太陽からのエネルギーをさえぎり、数年にわたって地球が寒冷化したため、植物の生育が衰え、その結果食物連鎖が異常をきたしたために多くの生物種が絶滅した。
アメリカのアリゾナ州にある直径約1.2km、深さ約170メートルのバリンジャー・クレーターは約5万年前に起きた小惑星の衝突跡であるが、この隕石の大きさは直径約30mだったと推定されている。この衝突で半径3-4km以内の生物は一瞬にして消滅し、衝突によって発生した巨大な火の玉により半径10km以内のあらゆる物質を燃焼し、また衝撃波により半径22kmまでは何もない荒野となった。しかしこの隕石は気候変動をもたらすには至らなかった。
2008年10月、スーダンで空中爆発した小惑星2008 TC3は史上初の地球と衝突する前に予知された小惑星となった。前日にアリゾナの天文台で発見されたこの小惑星はアメリカにある小惑星センターおよびNASAが大気圏に突入する場所と時刻を予測したが、予測どおり秒速12.4kmで大気圏に突入し、スーダン上空で砕け散った。その後の現地調査で280個、約4kgの破片が回収されている。しかしこの小惑星は大気圏突入前に予知されたとは言え、発見されたのは大気圏突入のわずか20時間前だった。
地球の近くを公転する小惑星は地球近傍天体と呼ばれ、これまでに9,000個以上発見されているが、地球の公転軌道と離れていれば衝突の恐れはない。これらの中で地球の750万キロメートル以内に接近する恐れのある直径150m以上の小惑星をPHA (Potentailly Hazardous Asteroid)と呼ぶが、これまで1,300個あまりが発見されている。これらの中でもっとも危険と思われているのが1950 DAと呼ばれる直径1.1kmの小惑星だ。NASAによれば、これまでの観測により2880年3月16日に最大0.33%の確率で地球と衝突の恐れがあるとのことだ。もしも衝突が起これば、大気圏での爆発や分裂にもよるが、恐竜絶滅の時ほどではないにしても、バリンジャー・クレーターを起こした衝突よりはるかに大きな災害となる恐れがある。2013年1月号の科学雑誌ニュートンによれば、もしも直径1kmの小惑星が東京市ヶ谷付近に衝突すると、直径10km、深さ約2kmのクレーターがつくられて、山手線の内側が消滅すると予測している。その際衝突による閃光と衝撃波は半径20kmに達し、甚大な被害は東京全域はもちろん、周辺の横浜、川崎、柏、さいたま、所沢などにも及ぶ。
現在の科学技術では小惑星の衝突はほとんど避けることが出来ないのが実情である。
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