5月21日の朝、日本では太平洋側の広い範囲で金環日食が観測されるとのことだ。多くの人がこの天体ショウを観察することだろう。この機会に太陽について考えるのも悪くない。
約400年前にガリレオが望遠鏡を使って科学的に黒点観測して以来、太陽の黒点が11年周期で増減を繰り返すことが明らかになっているが、1996年に始まった直近の第23期では2006年の太陽活動極小期からなかなか黒点数が増加せず、周期が12年7ヶ月に及んだ。第24期に入った現在、黒点は徐々に増えつつあり太陽は活発さを取り戻しているようだが、この周期も長引く恐れがあるという専門家もいる。そうなると地球は18世紀末から19世紀初めに起こった異常寒波に再び襲われるかもしれない。
黒点とは太陽表面に見られる暗い斑点のことだが、これは周辺よりも温度が低いために暗く見える。温度が低いといってもそれ以外の光球と呼ばれる太陽表面の6,000℃より低いだけで、約4,000℃であることがわかっている。黒点の温度が低くなるのは、太陽の内部より強力な磁力線が黒点から突き出しており、そのためにこの部分では太陽内部で発生した核融合反応による熱を対流により輸送することが阻害されるためである。黒点が発生するとその強力な磁気のエネルギーにより太陽表面ではフレアと呼ばれるプラズマ(水素原子核と電子の混ったガス)の巨大な爆発が起こり、大量の紫外線やX線を宇宙に放出する。すなわち黒点が増えれば太陽表面の活動は活発になっている。
2006年に打上げられたJAXAの太陽観測衛星『ひので』は可視光、紫外線、X線を観測する装置を搭載し、NASAのSDO (Solar Dynamics Observatory)とともにこれまで人類が得られなかったデータを蓄積しているが、これらデータに基づく4月19日に示された日米欧の共同発表によれば、太陽の北極では磁場がほぼゼロの状態に近づく一方、低緯度では逆極性に斑点が現れ、北極の磁場がまもなくマイナスからプラスに転じると予想されているのに対し、南極では極性反転の兆しが見られない、とのことである。このような現象から南北の両極がプラス極となる四重極構造になると想定され、このような変動は現代的な太陽観測では初めてのことであり、地球が寒冷であった17世紀のマウンダー極小期や18世紀末のダルトン極小期に類似していると推定されるそうだ。
ちなみに太陽の両極での磁場が逆転するのは以前から観測されており、その周期は太陽周期である11年であることは知られている。すなわち太陽周期とは北極がプラスからマイナスあるいはその逆に反転する期間と言える。極性の反転は地球でも起こっているが、最初の逆転期は約500万年前から約400万年前、2回目の逆転期は258万年前から78万年前であり、太陽とは異なりきわめてゆっくりとしたペースである。
添付の写真はJAXAのホームページより借用。
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投稿日 2012-05-16 17:56
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2012-05-18 13:03
ワオ!と言っているユーザー