日銀は2月14日の金融政策決定会合で、国債などを買い資金供給する基金の規模を55兆円から65兆円に増やし、この10兆円で国債を購入すること、および消費者物価上昇率を当面は1%を目標とすることを決定した。
これまで日銀の白川総裁はマネタリーベースを増やしても円高には効果がないとか、アメリカのFRBも行っていないインフレ目標導入は行わない、と言って十分なデフレ対策を行わず、円高を放置してきた。しかるに2000年以降、アメリカ、EU、中国などが積極的にマネーサプライを増やし、更にはFRBが1月25日に2%のインフレ目標を設定したため、日銀も重い腰を上げてようやく今回の金融政策決定となった。
日銀の決定に対し市場は敏感に反応し、2月はじめには76.50円を割り込んでいたドル・円相場は瞬く間に79円台となり、昨年10月31日に財務省が8兆円を投じた為替介入よりも大きな効果が出ている。
しかし日銀の1%のインフレ目標はアメリカの2%のインフレ目標に比較して少な過ぎる。長期にわたり日本経済がデフレにあることを思えば2-3%のインフレ目標を設定すべきで、FRBがインフレ目標を設定したのでしぶしぶ1%のインフレ目標としたように思える。この程度のインフレ目標では1ドルが85円以上となることは、日本経済に大きなマイナスとなるようなよほどの事件でも起こらない限り無理だろう。
デフレの脱却には国内消費の増加が不可欠だが、1992年以来国民の可処分所得が減少し続けているところに追い討ちをかけるように震災復興増税や消費税増税を行おうとする現状ではそれも困難だろう。財務省は支出の削減には不熱心である一方、財政再建の名のもとで国民から不足分を徴収して省益の確保に奔走するばかりで、デフレを克服して適切な為替水準を維持することによる国家の繁栄には無頓着すぎる。歴代の民主党総理大臣および財務大臣は経済には疎く政治主導もどこ吹く風、と財務省の言いなりで、これでは国民はたまったものではない。
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