一層の円高が進行している。このブログを書いている今のドル・円為替レートは77円80銭である。昨日は大手企業が本年第二四半期の決算を発表したが、震災の影響に加え円高のため大幅減益となったものが多い。トヨタは昨日インドでの生産を倍増する計画を発表し、その理由としてインドでの需要増をあげているが、本音は円高に加え電力供給不足などによる海外生産シフトの前触れではないだろうか。円高が継続すれば多くの製造業は生き残りのために海外生産に加え、外国産パーツを多用することになるだろう。これにより日本の産業は衰退し、大震災復興もおぼつかなくなる。円高により海外旅行が手軽に出来るようになった、などと浮かれている場合ではない。
今回の円高はヨーロッパの通貨不安に加え、アメリカの国債発行上限に関する民主党と共和党の対立によりドルの信頼性が低下し、投資資金がより信頼性の高い円にシフトしたためとされている。しかし国債発行上限を引き上げる法案は過去に何回も成立しており目新しいものではない。現在の引き上げ交渉難航は来年の大統領選挙の駆け引きであり、8月2日の期限までに必ず成立し、アメリカが債務不履行に陥ることはない。
このところ日本の景気にかかわらず円高になるのは、円の供給が他の通貨に比較して少な過ぎるからだ、という意見がある。すなわち2008年のリーマンショック以来アメリカはドルの供給を3倍以上に増やし、欧州中央銀行や中国人民銀行、更には韓国中央銀行もそれぞれの通貨を大幅に増刷している。それに対しインフレを極度に恐れる日銀は2006年に円の供給を削減し、それ以後も円の供給をほとんど増やそうとしていない。これでは円が他国通貨に対して高く評価するのはやむを得まい。日銀が大胆な量的緩和政策に転換しなければ円高は続くことになるだろう。
野田財務大臣の円高に対するコメントは常に『市場の動向を注意深く見守る。』で、これは為替投資のプロには『ドル買いの介入はしませんよ。』と同義語だ。日本再生のためには菅首相に加え、国家が衰退しても収支の均衡を願う財務官僚の言いなりになっている財務大臣と、円高に鈍感な白川日銀総裁に退場してもらう必要がある。
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