国鉄の白紙ダイヤ大改正 ヨンサントウ【昭和43年10月ダイヤ改正】第二話 概要編
国鉄が、昭和43年10月に実施したダイヤ改正であり、昭和40年からスタートしました。第三次長期計画の前半部分の成果を取り入れて計画されたものであり、国鉄としても画期的なダイヤ改正と言えました。
サンロクロトウと呼ばれた、昭和36年のダイヤ改正と比べますと。増発列車キロはやや少なかったようです。
ただし、高速道路などの開通により、国鉄の優位性は少しずつ奪われつつあったことからヨンサントウ改正は下記の点が重点的に整備されました。
- 1無煙化【電化や気動車化の推進】、全国的な高速列車網の増発などを行ったことが大きな特徴で
- 2 列車愛称の統一、準急列車の廃止も併せて行われました。
- 3旅客輸送量のローカル線で列車の運行を廃止するなどのスクラップビルドを進めることとなりました。
特に、ローカル線の廃止については、後ほど詳しくお話します。諮問委員会の勧告に基づき、積極的に効率の悪いローカル線を廃止すべく、取組を行うのですが、地方自治体の反対が大きく、83線が候補になりましたが、実際に廃止までこぎ着けたのは、わずか11線 (116.0 km) でした。
廃止対象になった路線の地方自治体では、「納付金は要りませんから、とにかく線路を残してください」といった陳情もあったそうです。
当時は、今以上に鉄道に対する愛着が強かったわけで、「線路がつながっている安心感」というのは、地方では、非常に大きな安心感であったと言われています。
特に、ヨンサントウ改正の大きな特徴は、積極的な複線化や、高速運転(120 km/h)開始などは、高速自動車道に対する国鉄の対抗策であり、積極的な投資を行うことで引き続き陸上における優位を保つための方策でした。
その反面。蒸気機関車の大幅な廃止が行われるなど、質的な改善も進められました。
その辺りの事情を、国鉄の部内誌、国鉄線昭和43年10月号の、「昭和43年10月時刻改正の概要」から引用させていただこうと思います。
第三次長期計画前半の投資の効果を発揮して行う43・10ダイヤ改正は。今後の旅客営業の帰すうを決するともいえる重要な意義をもっている。旅行需要の構造的な変化や、バス、自家用車の進出に直面して、国鉄旅客営業のむかうべき方向か模索されてきたが、43・10からは、あらたな物的基盤の整備のうえに「新時代の旅客営業」がその緒につこうとしている。
として、今までのように、国鉄が陸上輸送では独占状態でないことを十分に認識した上での一歩を踏み出したと言えます。
引き続き、概要について、国鉄線昭和43年10月号から、再び引用したいと思います。
1 改正の骨子
ア 幹線の輸送力増強
43・10には全国の幹線で、複線化18線区約500キロ(三次計画前半では1,350km)、電化7線区約580km(三次計画前半では157km)。線路強化8線区317 kmが完成する。この成果を活用し、今後も旅客輸送需要が伸長することが予測される東京~大阪等の太平洋ベルト地帯の管理中枢都市と地方主要都市間、あるいは地方の中心都市相互間を結ぶ幹線に、列車を大幅に増発する。
さらに、この増強される輸送力をスピードアップに生かしながら「有効時間帯」に設定し都市間の到達時分を大幅に短縮、日帰り行動圏を拡大する。
と書かれており、上記の図を見ていただくと分かりますが、だいたい5時間内で主要都市に東京から到達できるとして、東京~青森間の1時間54分を最高に、東京~山形間の54分、東京~盛岡間45分などの大幅短縮が見られます。
これは、東北本線の電化と複線化の完成が大きく、東北地域の発展に東北本線の近代化は大きく貢献したと言えます。
さらに、波動輸送と呼ばれる季節需要に合わせて、季節列車や週末列車を重点的に整備していくのですが、その辺は明日以降に改めて書かせていただきます。
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