改正道交法
9月
20日
僕は飲酒運転をしない。
それでも、この危険なテーマを考えてみたくなったのだ。さて、福岡の飲酒運転事故は大変痛ましいものであった。
厳罰化を求める世論の高まりも理解できる。
しかし、国民のほとんどが犯罪者になりうる道交法の厳罰化によって、問題は解決したのだろうか?
罰則が厳しくなるということは、犯罪の抑止に有効ではある。
しかし、少々ヒステリックな改正だと思うのだ。
そもそも飲酒運転に関しては、平成14年の改正時点で、充分厳しい内容になっていたのではないだろうか?
なぜ飲酒運転が繰り返されるのだろう。
僕は、その答えのヒントを、大都市と地方都市または郊外との取締りの違いに着目した。実際に地方都市やその郊外へ出張をすると、飲酒運転の多さが目に付く。
郊外型の駐車場のある居酒屋に、どうやってのみに行くのかは、おおよそ想像がつくのではないだろうか?
離島の中にあるスナックに、車を使わずに来る客はまずいない。
そういった、地域間での意識のズレが、飲酒運転の根絶を妨げているのではないだろうか。僕は思う。
同じ日本の中で、平等に施行できない法律などむしろ廃止してもらいたい。今回の改正で、罰金及び違反点数は以下のようになった。
酒酔い:5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
25点 運転免許の取り消し(欠格期間2年)
酒気帯び:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
呼気中アルコール濃度0.25mg以上 13点 運転免許の停止(90日間)
呼気中アルコール濃度0.15mg以上0.25mg未満 6点 運転免許の停止(30日間)
ここで注目したいのは、酒気帯びには明確な基準があるが、酒酔いには明確な基準がないということだ。
酒酔いとは「言語態度」、「歩行能力」、直立能力」この3要素がすべて正常でない状態だという。
つまり、呼気中アルコール濃度が低くとも、警察官の印象で判断が下るのだ。
そのとき、大きなスポイラーの付いた車に乗り、作業服姿で警察官に反抗的な言動を取れば、「酒酔い」になる可能性が高い。
同じアルコール濃度であっても、スーツを着込み、高級車に乗り、真面目な態度であれば、酒気帯びに収まる可能性が高いのだ。このような矛盾は、道交法の問題の氷山の一角に過ぎない。もう1つの問題は酒酔い運転をしている時点では、「何の事件も起こしていない」と言う事だ。このあたりで、酒酔い運転そのものが犯罪であるという認識をぼやかしてしまうのだ。飲酒運転は危険な行為である。
同じように、飲酒が元で喧嘩になり人を刺す事件も多いし、飲酒をして痴漢を犯す者もいる。
では、飲酒の後口論になり人を刺した場合と、ただ単に口論の上で人を刺した場合、どちらが罪が重いのだろう?
「飲酒のため、覚えていない」と言い訳するのか、「気が大きくなると分かっていながら、飲みましたね」と責められるのか?
酔っ払いの痴漢は、普通の痴漢より重罪なのだろうか?
酒酔い運転だけが重罪なのだろうか?
これは、解決のない問題提起に過ぎない。しかし、全国平等に施行できない法律が増え続ける不平等感に、何かを考えてみたくなったのだ。