「不良の系譜」新たなる挑戦
3月
23日
だが、「毎日が人生という映画のワンシーン」である以上は、いい加減には決めれない。
これまで、どれほど多くの車種を乗り継いできたかは定かではない。
BMWでは、マニュアルミッション車や、Mも体験し、それなりに気に入っていたのだが、最近のBMWの車作りには、チャイナマーケットを意識した妙な威厳と、メンツを意識した大柄なボディに全く魅力を感じない。
ポルシェは、たとえそれがGT3であっても、サーキットだけではなく、いつでもご機嫌な通勤ができる足となる。
718スパイダーは、一番のお気に入りだ。ポルシェはこれからも付き合える。
クルマと言うのは、足車だけではない。
趣味の車だって必要だ。
若いころ、確かにフェラーリの写真を壁に貼って、人生の目標のように思っていた時期があった。
しかし、なぜかフェラーリに縁がなくこれまで生きてきた。
昨年、人生で初めてフェラーリを体験してわかった事。
それは、強烈な違和感だった。
美しいエクステリア、豪華な内装、鋭い加速、予想を超えるコーナリング、官能的なエグゾーストノートでさえ、僕には完全な演出のように感じられ、逆に命が感じられなかった。
そう、結局は見せびらかすための車のような気がして、ドライバーズシートは僕が落ち着ける場所ではなかった。
そんな時、車検を受けてから1度も乗らずにまた車検が切れた1969年コルベットが、ガレージにある事を思い出した。
若いころから、僕がまさに人生をかけて仕上げたマシンだ。
再度、車検を取って走らせると、そこにはまさに僕の居場所「不良の系譜」が存在していた。
9.4リッターの巨大なエンジンと、リッチモンドの硬めのシフトレバーが懐かしい。
大容量の冷却システムや、ブレーキシステムなどは、何度も手直しして仕上げた作品であるので、一般路での安定性は優秀そのものだ。
不満があるとすれば、基本的なサスペンションパーツを一通りアップグレードしてはいるが、そもそもシャーシ設計が古いアメ車ゆえの予測不能な挙動。それに尽きる。
既に2000万円ほどは改造費につぎ込んではいるが、シャーシやサスペンション構造に着手しなかったのは、要するに「諦めていたから」だ。
世はChatGPTなどのAIの時代。
奴らに解決方法を聞いてみると、具体的な答えが返ってくる。
グラスファイバーボディの僕のコルベットに、現代の強靭なシャーシを与えることが可能なことが分かった。
その中でも、FAST TRACK C3 Corvetteシャーシを使用する事による専用のサスペンションでは、ロールセンターを低く制御し、ハンドリングとドライバビリティを大幅に向上させることができそうだ。さらには、ノーマルボディでもさらにワイドタイヤを選択する事も可能なようだ。
法的な問題もある。
日本の車検制度上、シャーシの交換は容易な事ではない。
容易ではないと言ったのは、ちゃんと手続きを踏めば、正々堂々と公認がとれるという事でもある。
僕にはできるが、他の人はやらない(やれない)。
人生の残り時間は?
達成していない目標は?
数千万円のイタリア車にうつつを抜かしている暇はないようだ。
“「不良の系譜」The FAST TRACK chassis project” 始動!