おいしい季節です
「 抗リン脂質抗体が陽性ではないのに、
また、凝固系検査が異常でもないのに、
流産予防として、
小児用バファリン(81)か、バイアスピリン(100)を
服用しても、その予防効果がなかった。 」
という研究結果が、
世界で最も信頼できる一つの医学雑誌に
2010年、発表されています。
N Engl J Med, 362: 1586-1596, 2010 です。
私見として、
妊娠初期に大量のホルモン薬で
治療されている患者さんについては、
その効果(血栓形成傾向を防ぐ)は
あると思いますが、
それ以外の場合では、
効果がないばかりか、
子宮内出血の原因にもなりますので、
かえって危険だと思います。
映画大好き人間です。
心身の疲れがたまると、
まず寝ます。そして食べます。
空いた時間があれば、
散歩して、
元気がでてきたら、
映画を見に行きます。
バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)
と、
イントウ・ザ・ウッズ
を連続して見てきました。
1日に2本見て、さすがに疲れました。
ところで、
私が行く映画館は60歳以上の場合、
入場料1100円ですが、
その時は証明書なしで顔パスでした。
どういうことでしょうか?
流産と宣告されたとき、
何がどうなっているのか、
どういうことなのか
混乱されたことと思います。
診療の中では、
その場で、すぐに診察結果を説明しますから、
理解できないのは当然のことです。
「結局は卵の生命力ですから。」
「流産は卵の問題ですから。」
「自然淘汰と考えてください。」
と、言うようなことを言われたと思います。
確かに、一回の流産の原因の約50~70%は
卵の偶然的な染色体異常によるものです。
しかし、
流産したことによる心のキズを十分に癒すことなく、
心のキズを封印したまま、
次の妊娠に向かうと、
次に妊娠したときの過剰な流産への恐怖心が
子宮内環境の悪化を招き、
また、辛いことが繰り返されるかもしれません。
小さな命が少しの時間だけであっても、
あなたの子宮に宿ってくれたことに、
感謝されてもいいかもしれません。
連続して流産されたなら、
2回とも卵の生命力の問題
による流産の確率は、約50%弱ですよ。
不妊症で悩む人たち、
その心の内が本当によく描かれている
まんがエッセイの新刊です。
私も、当院のスタッフも
涙を止めることができませんでした。
がんばってもできないこともある。
がんばった結果なら、
その過程にも価値がある。
幸せの道はいろいろですよ。
「私、産めるのかな?」
2014年11月30日 初版発行
著者 小林裕美子
発行所 河出書房新社
です。
不育症のまんがエッセイは、
「不育症戦記」
2010年3月24日 第1刷発行
著者 楠桂
発行所 創美社
が、お勧めです。
私が治療させていただいた患者さんの
体験記が書かれています。
昨日(平成27年4月5日)の夜9時から50分間、
テレビでNHKスペシャルとして、
「新アレルギー治療」花粉症・完治への挑戦、
発症を抑え込む細胞!
食物アレルギー新展開
が、放映されました。
発症を抑え込む細胞としての
「Tレグ細胞」
の重要性が判明してきているのです。
たとえば、
母親がピーナッツアレルギーがあり、
その子供に同じアレルギーを発症させないために、
生後よりピーナッツを極端に避けていても
その効果はなく、
かえって、
ごく少量のピーナッツを与えていたほうが、
発症率を低下できる可能性が判明してきたのです。
その機序として、
Tレグ細胞が作用しているとのことです。
Tレグ細胞とは、制御性T細胞のことであり、
免疫反応のなかで、
「免疫的な寛容」を誘導しているのです。
胎児―胎盤系についても関係していますよ。
免疫の機能は自己と非自己を区別して、
非自己を排除することですから、
胎児はもともと半分異物であり、
厳密には非自己なのです。
ですから一般的に考えれば、
流産が普通の事なのです。
ところが子宮内の特殊環境により、
免疫学的な寛容が誘導されて、
妊娠が維持されているのです。
2013年、富山大学産婦人科の
中島先生、斉藤教授グループにより、
胎児の染色体正常な流産患者の子宮内膜内に
Tレグが低下していることが報告されています。
つまり、
Tレグの低下による免疫学的な調節機能が
上手くいかず、胎児が拒絶される可能性が
考えられるのです。
ぽかぽか陽気に誘われて、春の散歩へ。
桜も満開を過ぎ、
桜吹雪。
桜の木の下、
外人さんも楽しそう。
桜が散ってもチューリップ、
花の色は
神秘的に美しい。
不育症と着床障害の原因には、
身体的因子だけではなく、
精神的な因子も存在しています。
実際に多くの患者さんと接していると、
治療のためには、数値では説明できない、
何かが大切であると感じられます。
この何かが精神的因子であるのです。
反復流産クリニックを受診する患者の
約30%は抑うつ状態~うつ病である
との報告(Klock, S.C. ら、1997)や、
反復流産クリニックを受診する患者の
不安レベルは精神科の外来患者の不安レベル
に近いとの報告(Craig, M. ら、2002)
もあります。
当院のある一日の不育症初診6名につき、
精神科専門医が日本版BDI-IIにて
調査したところ、
3名が軽症うつ病と診断されました。
妊娠初期の超音波検査、
ドキドキしますね。
診察と同時に、
「生きていますか?」
と、張りつめた声で
聞かれたことがあります。
毎回、毎回、緊張します。
当院を卒業されるとき、
初めて
やさしい笑顔に出会えます。
がんばっている人に、
神様も応援してください。
人体発生学から見て、
発生9日目頃(妊娠3週2日)(胚盤胞移植4日目)
には胎盤になる絨毛細胞の組織内に腔隙が出現し、
子宮内膜のラセン動脈~毛細管と交流し始めます。
ラセン動脈の血管平滑筋細胞層は
母体の交感神経の影響下にあります。
つまり、母体がストレスにより
過剰な緊張状態にあれば、
ラセン動脈が収縮して
胚に十分な酸素を供給できません。
この危険を少しでも回避するためなのか、
妊娠4週頃より子宮内膜内の絨毛細胞が
ラセン動脈内に浸潤し、
妊娠16週頃までに、
血管平滑筋細胞と
ほぼ完全に置換してしまうのです。
これにより、
妊娠16週以後については、原則、
胎児―胎盤系は
母体の神経支配を受けることなく、
血管を拡張して酸素に満ちた血液を
吸収できるのです。
夜桜です
今日は雨、
しっとり、どんより、
ちょっと、憂うつ。
でも
花粉は飛ばず、
生温かになり、
もう春、はる、 春 ですよ。
催花雨、
(春、早く咲けと花をせきたてるように降る雨)
今日の雨は 催花雨 ですね。
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