今年の読書(64)新宿鮫Ⅹ『絆回廊』大沢在昌(光文社)
5月
16日
1作目から8作目までは、(光文社)から「カッパ・ノベルス」の体裁での発売でしたが、9作目の『狼花』と本書『絆回廊』は、根強い人気があるのでしょうか単行本での発行です。
キャリア組でありながら警察組織での出世にも関心が無く、警察の内部抗争に巻き込まれてはぐれ状態の立場を貫いている<鮫島>警部が主人公で、自分流の捜査方法で確実に事件を解決していく姿は、全編を通じて変わりません。
恋人として12歳年下のロックバンドのボーカル<青木昌>がいますが、本書ではバンドのメンバーが麻薬使用で逮捕、警察の面子のために<鮫島>とは別れたたこととして本書は終わっていますが、この後の展開は次作まで待たなければいけません。
一匹狼の<鮫島>の理解者である上司の<桜井>は、昔の事件がらみで本書で殉職してしまいます。
20数年ぶりに刑務所を出てきた男を中心に物語は始まりますが、この男を待ち続けていたけなげな<語り手>のどんでん返しが以外で、楽しめました。