今年は、4月半ばから5月の連休にかけて、沢山の金蘭・銀蘭と出会えた。
蕾の時、開花した時、見せ場を終えた時と、、、!
それぞれの表情は豊かで「花の命」を強烈に、躍動感を以って魅せてくれた。
立ち姿は、バレリーナが舞っているように、姿勢よく楚々としている。
年々増え、広がりを見せてる彼らの生き様は、何か訴える感さえ伝わってくる。
今や全国では絶滅危惧Ⅱ類(VU)、埼玉では絶滅危惧ⅠB類(EN)である。
《キンラン属》
キンラン属(Cephalanthera)は,東アジアを中心に広く分布する地生ランの仲間。
日本にはキンラン・ギンラン・ササバギンラン・ユウシュンラン・クゲヌマランの5種が自生。
身近な環境に生育する植種で野草好きには春を満喫、感受できるののプリマドンナである。
ランらしい草姿と丹精な花色を持つ魅惑的な植物。
野草愛好家には栽培できないと語られ,野に置くべき花と伝えられて来た。
しかし、人里近くに自生するため自生地からの移植・盗掘が後を絶たず減少(自生地)している。
更には、宅地開発で自生地も減少、今や絶滅危惧種となってしまった。
ラン科植物の殆どは "ラン菌" と呼ばれる共生菌から栄養を得て生きている。
落ち葉の腐葉土も重要である。菌への依存度が高いほど栽培が難しいのだが。。。!
国内産キンラン属における種毎の共生菌への依存度の高さは,大方次のような順。
ユウシュンラン > ギンラン > ササバギンラン > キンラン ≒ クゲヌマラン?
左に行くほど菌への依存度が高まる。つまり性質が腐食ランに近づいている。
キンラン属の共生菌は、樹木の外生菌根菌で鉢栽培では上手く育たない。
ラン科植物の共生菌は腐食菌(落ち葉や枝を腐らせる菌)や菌根菌(生きた植物の根に共生する菌)。
キンラン属植物を栽培するには、依存している共生菌(イボタケ・ベニタケ等)が、
共生している相手の樹木(ブナ科・マツ等)を同時に育てる必要がある。
ラン・菌根性樹木・菌根菌の三者共生関係を構築する必要があるのだが!?!
人間は、わがまま身勝手だと思う。、而して都合よく園芸的に創作してしまう!!
最近、ランの生産業者が、 "キンランの無菌培養苗を作ってしまった。
この "無菌培養キンラン" 山野草と同様に育てられると言われている。
混植には,キンランの共生菌の依存相手であるブナの仲間(コナラ・シイ・カシ)、
あるいは、マツの仲間(クロマツ・アカマツ)も用いられている。
※キンランの共生菌は樹木の外生菌根菌であり,腐食菌ではない。※
キンランは、この仲間で唯一商業生産が為されている種。
早春に他の植物に先駆けて,鮮やかな黄色の花を多数咲かせる。
この仲間では共生菌への依存度が低い方であるのだが、、,?
典型的な里山の植物,大切に見守りたい。庭ではなく森の精であってほしい。
ギンランは、キンランに少し遅れて白い花を咲かせる種。
花に苞葉は無く,通常の根とともに太い紡錘状の根を多数持つ。
菌への依存度が高く,自生地での観賞に尽きる。
ササバギンラン、ギンランに似るが、長い苞葉を持ち全体にギンランより大きい。
個体数が比較的多い種で,環境適応能力が、他種に比べて高いか???
様子。 ギンランより幾分か依存度は低いが,こちらも栽培は難しい。
クゲヌマラン。ギンランに似るが,葉に光沢があり,花に距がない。
本来,太平洋側海岸の限られたクロマツ林にのみ分布する種!!だが,
最近、日本各地で大群落が確認されている。
ユウシュンラン、日本に自生するキンラン属の中では最も共生菌への依存度が大きい種。
葉が非常に小さく,炭素同化の殆どを菌に頼っていると考えられている。
近間の里山では、金蘭・銀蘭しか出会っていないが見落としているかもしれない。
「大和市泉の森」