11月
12日,
2021年
会社数字を活かす:経理部門から見える会社・社会とは?(Day14)「課題達成に数字を活かす」
昨日に引き続き、私の前職である「財務経理職」という仕事を振り返りながら、異なる視点や考え方をお伝えして行きます。
全体は、下記のような流れで書き綴っています。
全体の流れ・章立て
第一部:財務・経理部門の役割(完了)
第二部:財務経理パーソンの「ありたい姿」(完了)
第三部:財務経理部門をどう活用するか(本日)
そして今日はとうとう最終章の第三部、
第三部:財務経理部門をどう活用するか
これまでは財務経理部門の内部に視点でしたが、今日からは
「外部からの視点」で
色々と思うことを綴って行きます。
章立て
1.会社・事業の「定期健診・健康診断」としての活用(完了)
2.課題達成のための「数字・データ」の活用(本日)
3.中長期や将来の姿を「数字」で描く
『課題達成のための「数字・データ」の活用』
今日の章立て
1.「会社数字」を活用する
2.具体的にどんな会社数字を使うのか
3.数字を使うことの効果と制約
1.「会社数字」を活用する
(1)社内では「プロジェクト」と称して、いわゆる小集団活動が盛んに行われます。
自部署の課題を解決するためのプロジェクトもあり、また部署横断的なものもあります。また、社長直轄の全社プロジェクトという、社運を賭けるような大きなプロジェクトもあるかと想像されます。
(2)プロジェクトには「プロジェクト・リーダー」という旗振り役がいます。全体のスケジュール管理から、参加メンバーの人選や役割分担をします。
財務経理パーソンを、このプロジェクト・リーダーの「参謀役」として活用して欲しいです。
(3)なぜなら、財務経理パーソンは会社内の様々な数字やデータに精通しているからです。
数字と言っても単に金額的数字だけではありません。人数や面積、時間などなど、数字で表現できるものに関して財務経理パーソンは基本的に明るいと思います。
(4)また、そもそもの話ですが、そのプロジェクトの成果とは何か、そしてそれが金額的にどのくらいの規模の話なのか?
それを数字を使って全体像を表現し、進捗度をモニターしていく。こんな役割を担う役として活用できると思います。
2.具体的にどんな会社数字を使うのか
(1)上記、プロジェクト管理に会社数字を具体的にどのように使うのか?もう少し細かく見て行きましょう。
(2)例1:ITシステムの導入
①「なぜITシステムを導入するのか?」「システム導入のメリットは?」
当たり前の問いかけではありますが、実は明確に答えを持たずに進められることも多い気がします。
システム導入する経済的便益(リターン)があることは、導入を推進する原動力であるはずです。
②経済的メリットとして想定されるのは、現状に比べて作業工数が下がる(コスト削減)、現行システムに比べて維持コストが下がる(コスト削減)、製造開始から製品完成までに期間や客先納期が下がる(売り上げ増に貢献)などがあります。
③もちろん、システム導入をしなかった時に掛かるコストも算出して、上記②メリットと比較する必要があります。
④これらの数値を算出することによって、どれくらいの規模(金額)のシステム投資であれば採算が取れるのか、が見えてきます。
つまりシステム導入のメリット享受しつつ、投資効果を最大化する金額レベルが見えてくるのです。つまりROIを算出することでプロジェクト全体の管理が容易になります。
(3)例2:新製品開発
①現有製品に代わって、新たな製品を開発・販売するというプロジェクト。製造メーカーでは頻繁に行われているかと思います。
②新製品開発に関する「お金」をいくつか分類してみると、「かかるコスト金額」と「増える売上額」です。
かかるコスト金額は、もちろん開発に関わるコスト。これらには人件費・材料費など試作品作成にかかるコスト。そして量産する際の製造原価。色々なコストがかかります。
③一方、増加する売上額。既存製品の代替品を販売する、ということは既存製品に比べて基本的には付加価値が高い製品、つまり金額は高いはず。
従って製造原価が既存製品と同額ならが利幅が大きくなる。逆に言うとそのように利幅の大きい代替製品を開発しなければ旨味が大きくない、ということになります。
④新製品開発は長期に渡ることが多く、かつ、予測しない事象も数多く発生します。例えば、市場調査によって見積もられた販売数量が、当初の予測ほど大きくない。つまり販売数量が少ないことから採算割れがのリスクが出てきたりします。
その際はどれくらいコストを下げれば採算が取れるか?ということが議論になります。これは「損益分岐点」と言われるもので、非常に重要な視点です。
3.数字を使うことの効果と制約
数字を使うことで得られるメリットは多いですが、一方、制約やリスクもあります。双方の視点で見て行きます。
(1)数字を使うことの良さ・効果
①数字という加算・減算をしたり、比較が簡単に出来るものに活動や成果を置き換えることで、物事の「可視化」が可能となる。
②誰にでも分かりやすい、シンプルな指標を作成し、進捗度を見えやすくする。
(2)数字を使うことの制約・怖さ
①数字、即ち定量的な部分ばかりに焦点を当ててしまい、定性的な面を軽視しがち。
②「数字が絶対」のような片寄った見方が横行するリスクがある。
従って、数字・データ・金額を活用はするものの、ビジネスやプロジェクトのリーダーは定量的だけではなく、定性的な部分にもきちんと配慮して、色々な判断をすることが非常に重要です。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
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