金華山に頂上に立つ岐阜城。 その裾野を長良川が洗っている。 宿舎はその長良川に面している。 部屋の窓から目の前に岐阜城も、鵜飼いの船着場が見える。 朝一番の入浴と朝食を終えて友人が迎えに来てくれるまでの小1時間ほどを利用して 岐阜城を侵攻?することにする。 金華山山麓、織田信長の住居跡から頂上までの山路が ハイキングコースとして整備されている。 「瞑想の小道」と洒落た名の付けられた本道は 城まで所要時間が60分と案内板にあり、 その本道から脇道が最短距離で頂上まで突き抜けているのが 「馬の背道」で所要時間は40分。 もちろんその「馬の背道」を選ぶ。 なるほどその名の通り馬の背ほどの狭い幅の断崖を 胸が岩地に接せるほどの急勾配の難所が続く道であった。 時間に追われていた私は、45分ほどで往復したことになる。 友人が経営しているビジネスの社屋で丸一日を過ごした後、 美濃国から木曽川を渡って伊勢国まで友人に送ってもらう。 その夜は木曽川のほとりに構えている 犬山城の近くに宿を取っているためである。 ここで岐阜県でなく美濃、 愛知県でなく伊勢と あえて旧分国名を使うのには理由がある。 戦国時代の史跡巡りを意識していて、 そのため私の視界の中ではビルや自動車といった近代的な所産は消えて行き、 5百年ほど前の情景を目にしているからである。