パラダイムシフト
10月
29日
秋田県北部に位置する藤里町で全戸調査をしたところ、
130人以上、人口の約9%が仕事に就かないで引きこもっているという
驚くべき実態が明らかとなった。
NHKのクローズアップ現代が報じていた。
町では若者を何とかしようと、先ず悩みを聞くことから始める。
戸別訪問してはカウンセリングをしようと試みるが、
「来なくて良い」と断られてしまうことが多かった。
それでは、と今度は外に引き出す作戦に。
若者が好きそうな娯楽やスポーツの場を設ける。
だが当日やってきた者は誰一人としていなかった。
どうしたなら仕事に就いてもらえるのか。
どうしたなら自分らしさを取り戻せるのか。
そして町の活性化につながるのか。
方向性を失い、挫折感にくじけそうになる町職員。
次に簡単な職業訓練の教室を設ける案内を戸別訪問して投函。
すると当日、教室は参加者で溢れていた。
かつてカウンセリングを拒んだ青年もそこに来ていた。
彼らは働く気がないのでも、能力がないのでもなかった。
就職活動を何度しても拒絶され続けた結果、
自分自身にすっかり自信を失い、
自分を責め、いつしか家に引きこもらざるを得なくなった。
内閣府調査の数値は皮相的なもので、
全戸調査をすれば全国どこでも10人に一人の引きこもり割合となった
藤里町の数値に近いものがあるという。
そして引きこもりの彼らは決して特別な弱い者たちではなく、
誰もが一つ条件が違えば、引きこもりになる可能性を秘めているという。
藤里町では、
簡単なボランティアやアルバイトのできる「中間的就労」の場を作ったり、
後継者不足の商店街復活に埋もれていた若い力を活用したりで、
すでに30人が職を得るまでになった。
彼らは働く機会さえあれば、すぐにでも働きたいと考えていたのだ。
埋れていた若い力や才能が引き出されて、
過疎化の町に新しい活性化の風を送っているのを番組は伝えていた。
きっと相手は、
その考えはこんなものだろう、
といかに我々は先入観を持って決め付けてしまいやすいことか。
その結果、相手とのギャップに直面しては無力な自分自身に失望してきた。
カギは、相手の真のニーズを知ることか。
知っているつもりにならないで。