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不良のアウトドア

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完璧

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完璧
ニヌハ2は完璧な状態だった。
帆の性能は満足のいくものだった。
爆発的な風下へのスピードはなくなったが、風上への性能は確保された。
シャープになった船底との相乗効果で、270度の方向の自由を得た。
旅という目的を考えると、これがニヌハ2に最も似合う形と言える。
しかも、この艇の初期の状態から考えると、引き波の発生は40%減少している。水の抵抗が少ない。エイクへの負荷が少ない。
新設計されたラダーは、踏力がほとんど必要なく、浅瀬への進入が可能になった。
しかも2倍の性能を得ている。
この部分は、明らかに先人たちの知恵を超えた。
ニヌハ2の最終進化型を宣言したい。
沖縄選手達の漕ぎのチェックも完了した。

僕たちは、練習の終了を決めた。
そして、強度が不足気味の帆柱の材料を買いにいく事にした。
おそらく、本番で使用する事になる帆柱は、残り時間で忠さんがカンナの腕前を見せてくれるだろう。

僕は既に大阪にもどり、最近出来なかった用事を片付けている。

・・・しかし、何と言うことだ。
前回のカヤックで壊した肩が痛み出した。
左手はほとんど動かすことが出来ない。
電気のスイッチを押すことができない。
今日は腕を吊って行動し、明日は整形外科に行く事にしよう。
また、新たな障壁を突きつけられる事になってしまった。

#アウトドア

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サバニが走るまで2

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サバニが走るまで2
大阪に戻った。
請求書の対応、受注・発注、その他事務処理&営業。
明日からは東京出張。
金曜日の夕刻に沖縄での艇のテスト&練習。

予定から逆算すると、航海計画の計算をるる時間がない。
睡眠時間は減らせない。
業務にも健康にもダメージを与えるから。
通常業務が終わって、「賢者」のミーティングが始まるまでのわずかな時間が、僕たちニヌハチームの運命を決める計算の時間だと知る。
すこぶる楽しいのか、すこぶる厳しいのか。
それは既に分らない。

南の美しい海を走る姿を見て、「いいなー!」と思う人がいるかもしれない。
事実は、その為に片付けなくてはいけない現実のいかに多いことか。
この部分は、1969年のコルベットを仕上げる「不良の系譜」プロジェクトと何も変らないのだ。

#アウトドア

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サバニが走るまで

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サバニが走るまで
【Ninufa2 最後の戦い】
毎年、毎年、大変なこの時期。
忠さんと激論を交わしながら、ニヌハ2が出来上がっていく。

加工する→テストする→問題点を分析する→解決策を考える→加工する・・・・
延々とこの作業が続く。
先日の練習中にマストが折れた。
予備のマストは用意していたが、その予備が必要になった。

今シーズンに入り削り込んだ船体は、造波抵抗が少ない。
船体はすこぶる速い。

だが、帆がいけない。
まるで、スピンネーカーで走っているようだ。
ランニング〜クォーターリーまではめっぽう速いが、少しでも上ろうとすると減速する。
タック角度も110度から120度必要だ。

帆が揚力を得るためには湾曲面が必要だ。
この膨らみをドラフトと言う。
このドラフトの量と、ドラフトの位置でセールの性能は激変する。
忠さんはこのドラフトを大きくしようとした。
忠さんの理論はすこぶる正しい。
ヨットの帆は立体裁断によりドラフトを作っているが、忠さんはセールの風の入り口を絞ることによって、ドラフトを作ろうとしていた。
風に上ろうとする場合、どうやらそれが失速の原因だ。
裏帆になった場合は、帆柱の影響で、ドラフト位置が変り、上り性能が向上する。
昨年から何度も戦わせた議論だったが、やっと2人同時に現地で確認することができた。
15万円を注ぎ込んだ、スピードメーターを見るまでもなかった。 

あと1週間。
忠さんは沖縄中を走り回って、色々なメニューをこなしてくれている。
きっと、間に合う。そう信じて・・・。

#アウトドア

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HELLY HANSEN

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HELLY HANSEN
大阪へ戻った。
海南までM6をぶっ飛ばす。
REBECCAの中に装備してある、HELLY HANSENのライフジャケットを取りに行くためだ。
今年のサバニレースのメインスポンサーはH/Hなのだ。
ならば、クルーのライフジャケットを統一すると、特別賞が?
甘いか。。。
・・・で、久々の超高速走行でフロントガラスは虫だらけ^^!

明日は東京だ。

#アウトドア

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練習予定 → 雷雨

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練習予定 → 雷雨
ニヌハ2の調整が完了し、朝から練習開始!
・・・と、気合を入れては見たものの、雷雨。
そこで、みんなでニヌハ3を見に伊江島まで行くことにした。
下門おじいも喜んで出迎えてくれた。
みんな細く長く美しい船体にびっくりしていた。
今、上に乗っているぶ厚い材が底板になる。
これから外も中も削られて、丸い船底が出来上がるのだ。
一次安定性はおそらく悪い。
艇はゆらゆらと揺れるだろう。
だが、荒れた海ではそれが武器になる。
この艇は、いつもと同じようにゆらゆらと揺れながら波を切り裂く。
きっとそうなのだ。
なぜならば、これがおじいの記憶の中にある「遠くに行く船の形」だからだ。
歴史の中に埋もれそうな真実を、一つまた一つと確認しながら前に進む。
限られた時間の中で。
#アウトドア

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【炎(ほのお)】 

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【炎(ほのお)】 
レースをするのは1日だけだ。
旅に出ても1週間ほどだ。
しかし、準備には何週間も必要になる。
今年もレース艇は、ニヌハ2を使用する。
波を切り裂くカーラは、さらに鋭角に削り込んだ。
表面の仕上げは、今までのかまぼこ油ではなく、ワトコを使用した。
ワトコは木材に浸透して内部に塗膜を作り、木材表面には塗膜をつくらない、優れた特性を持つ。

その他にも、ほとんどの箇所に手が加えられた。
座席位置はさらに低く、安定性を重視した。
漕ぎ手は辛くなるだろう。
風は掴みやすくなるだろう。
糸満私立中央図書館で見た、「海の民」という昭和初期の白黒の画像に影響を受けたことでそうなった。
それが、カッコイイからだ。

もちろん、チェックも怠らない。
驚いたのは、カーラの保護板を支えるボルトが、磨り減っていた事だ。
船の上げ下ろしで磨り減ったのだろうが、ボルトの頭は、まるで紙のようにぺらぺらの状態になっていたのだ。

今回は、ニヌハ2という艇にとって限界性能まで到達している。
今年のニヌハ2が「完成型」だ。
この艇で、ベストメンバーによる参戦は最後になるかもしれない。

これから、わずかな期間の練習と、海図と潮流の確認、あと選手の実力を見極めて、交替の計画・・・。

いつものように、僕の夏が終わる日が近づいてきた。
今年は、6月24日。
僕は毎日を完全燃焼させている。
だが、その日は燃え方がちょっと違う。
核爆発の炎が、辺りを焼き尽くすような1日なのだ。

#アウトドア

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再会

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再会
フェリーは30分遅れで到着した。
下門おじいは、笑顔で出迎えてくれた。
作業場の中には、ひと目で僕らの艇とわかるサバニが、既に形を現していた。
#アウトドア

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蚊の襲撃

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蚊の襲撃
せっかくとったストリングスホテルでは3時間しか眠らなかった。
おまけに6:45だと思っていた始発の沖縄便は6:25だった。
羽田までタクシーを飛ばす。

那覇からは浜比嘉島へ移動して、サバニの積み込み。
今日からレースに向けた仕上げの作業を開始するのだ。
ここのところの雨で、にーぶい村にも蚊が大量に発生した。
ちょっとした積み込み作業で、身体中ボコボコ。

まあ、いいか。
よくないか。。。

#アウトドア

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最後のキャンプ

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最後のキャンプ
伊是名島では、雨が降り続いていた。
キャンプ地で、眠りに付こうとしていた頃、さらに強風が吹き始めていた。
僕は、ハンモックでのキャンプをあきらめ、バンに荷物を突っ込んで、シートで横になっていた。

突然の雷。20mを超える突風。
タープが狂ったように踊る。
ポールが折れたテントもあった。
この状況がしばらく続いた。

その後、村の議員さんが見回りに来て、「公民館に避難しませんか?」と、暖かい言葉をかけていただきました。
・・・で、久しぶりのお布団。

冒険の旅には、思い出までが付いてきました。

#アウトドア

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伊平屋島→伊是名島

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伊平屋島→伊是名島
強烈な向かい風が、カヤックを押し戻そうとする。
この橋をくぐれば、伊平屋島とお別れだ。
ここから先の海峡は、時間によっては激潮になる場所だ。波も高い。
単独の旅ならば引き返している状況だった。

「早く渡れば、下げ潮が残っている」と忠さんは言った。
海図と潮汐表だけを見ている僕には「?」だった。「上げでしょ?」
皆が彼の判断を信じて、視界が悪く目標の伊是名島が見えない海峡をコンパス進路で進んでいく。

海峡の半ばを過ぎたところで、突然パドルが軽くなった。
「あっ、今潮が変ったね!」
僕たちのカヤックは、下げの潮に運ばれはじめた。
そして、伊是名島の島影がはっきりと見えてきたのだ。
酔っ払いの忠さんではない、プロのガイドの姿を見た瞬間だった。

#アウトドア

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