社員7時間の戦い
彼らの挑戦は、今年で2回目。
事前練習は、シミュレーターを1日共同で使用するのみ。
しかも今年のFSWは、前日の練習走行を含め1日中の雨と霧という絶悪な条件だった。
過酷な条件を生き抜き、7時間を戦い抜いて、2年目にして初めてのゴールを味わった彼らの感動はひときわだろう。
レースから得られる経験は、洞察力、調和力、社会性など様々だ。
自分とは判断の違う相手を見極め、洞察力によって的確に動きを予測する。
レースの展開を予測し、臨機応変に作戦を変更する。
レースが始まればメンバーの変更はない。
チームメンバーそれぞれの特性を生かし、レース状況に合わせて適材適所に配置するマネージメント力も、結果に大きく影響を与える。
参加メンバーは、自分の常識が社会の常識ではないことを知る。
何が起ころうとも、他人の責任にはならない。
全ては自分たちの判断であり、チームの共同責任。
そして、何よりも命をかけて戦う戦友としての絆が生まれる。
3人で7時間を戦う事は、一般的には厳しい布陣だ。
僕自身もドライバーとして参加する事も出来たが、僕はこのレースのために何の準備もしていない。
その僕が経験のないFSW雨の中で、経験のないマシンに乗ったとしても、僕は初心者の彼らにどうしても勝とうとしてしまう。
そんな自己顕示の意識は、チームの統率を妨害してしまうし、ゴールする可能性を削ぎ落してしまい、良い結果は得られない。
7時間を無事に走りきるためには、自分がヒーローになるのではなく、確実にタスキをつなぐ走りをしなくてはならない。
今回のレースのマネージメントとしては、僕のようなドライバーは参加すべきではないと判断した。
僕のマネージメントは悪くなかったと思う。
そして何よりも、彼らの勇気と体力と、冷静な判断力を称えたい。
グラントヒーローズ!
素晴らしい仲間だ。