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53. 待合室の風景

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53. 待合室の風景
産婦人科の待合室に、どんなイメージをお持ちですか。
みじめで、
情けなくて、
時には嫉妬心を感じて、
できれば、

一刻も早く逃げ出したくなる場所
ではなかったですか。

普通の産婦人科外来の待合室は、
妊婦さんでいっぱいです。
幸せいっぱいの笑顔であふれています。

壁には、天使のような赤ちゃんの写真が
自然と目に入ってきたと思います。


多くの妊婦さんは、流産を繰り返す不育症
の存在すら知りません。

多くの先生や看護師さんでさえ、
不育症の全体像がよくわかっていません。


そのため、なんとも言えない孤立感を感じませんでしたか。
ときどき、その言葉や態度に、
大きなストレスを感じませんでしたか。


不育症の治療には、精神的サポートが非常に大切です。


ですから、理想的には、
待合室は、不育症患者さん専用、
あるいは不妊症患者さんと同室が良いと思います。

さらに、
できれば旦那さんといっしょに、
ゆったりと、
診察を受けていただくことが理想です。


私は、日本で最初に不育症専門クリニックを開業しました。
まだまだ、不備な点が山積していますが、
スタッフ一同、日々、改善するよう努力しています。
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52. 流産手術の麻酔

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52. 流産手術の麻酔
流産手術時の麻酔は、
10分間ぐらいの短い時間だけ、
意識を無くして、
痛みを感じないようにしなければなりません。
しかし、
自発的な呼吸機能を残さなければなりません。
そのために、
全身麻酔薬、催眠・鎮静薬、麻薬、抗不安薬、鎮痛薬を、
単独あるいは併用して、静脈内へ注入する全身麻酔が
行われています。

この麻酔方法の違いと、
手術前のこころの安静度の違いにより、

麻酔されることが
怖く
なることがあります。


急に、強制的に、意識が無くなっていき、
その途中で、
自分が暗いブラックホールのような闇へ落ちていく、
きつい色のついた怖い夢をみる、
などです。


流産手術は、ほかの手術に比べて、
短い時間で終了します。

ですから、往々にして、安易に考えられていますが、
私の経験からみて、
非常に多くの精神的ケアーが要求される、
非常に重い手術です。

つらい手術ですから、
こんなときこそ、
旦那さんのこころからの看護が必要です。


当院での手術では、
ほとんどの患者さんが、ご夫婦でいらっしゃいます。


半数ぐらいはまったく夢を見ないですが、
残りの半数ぐらいの患者さんは、
麻酔中に、カラーの楽しい夢を見られています。


野原、あるいは遊園地で遊んでいる、
海外旅行をする、
などです。


つらい手術ですから、
麻酔についても、
慎重に、ゆったりと行い、
少しでも居心地のいい時間を
持っていただきたいと思っています。
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51. PTSD(心的外傷後ストレス障害)の原因としての流産手術

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51. PTSD(心的外傷後ス...
ある状況下のなかで、
麻酔をしないで緊急に流産手術を受けたことはありませんか。

たとえば、妊娠中に出血があり、
あわてて救急病院を受診したとき、
流産しかかっている、あるいは流産が進行していると診断され、
「数分、我慢してください。」
と言われた後、
麻酔をしないで緊急手術を受けたことはありませんか。
あるいは、
意識がある状態で痛みだけ和らげる処置を受けた後、
流産手術あるいは、子宮内容除去術を
受けたことはありませんか。

このような場合、
「何か起こっているのか」
その状況を説明されても、
精神的にパニック状態になっていれば、
ほとんど理解できないため、
恐怖心
のみが残ってしまいます。


実際、不育症の患者さんは、
まず早く妊娠することを希望されますが、
いざ、妊娠されると、
少なからず、
怖いという感情を覚えるようです。

その怖いという感情のなかには、
流産手術への極度の恐怖心も含まれていると思います。

「病院が怖い。」
「内診台が怖い。」
などの感情です。

ある患者さんは、
来院されるごとに、血圧が200ぐらいまで上がり、
自宅へ帰ると120ぐらいになっていました。
「白衣性高血圧症」
といって、
精神的な過剰な緊張が血圧の上昇までもたらしている一例です。


このような
流産手術などに起因する
PTSD(心的外傷後ストレス障害)の患者さんは、
自分自身、気がつかない例も含めて、
かなり多くいらっしゃるのではないでしょうか。


元気な赤ちゃんを出産するための治療とは別に、
必要ならば、
今、病んでいるこころの状態を治すことも大切だと思います。
こころの治療が不育症の治療に直結するからです。
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50. 胎児は物ですか人ですか

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50. 胎児は物ですか人ですか
大学病院に勤務して不育症患者さんを診ていた当初は、
患者さんのこころの状態に大きな関心はなく、
検査データがすべてでした。

医学研究者として、
EBM(証拠に基づいた医療)を不育症の検査と治療に
実践できるようにするため、
まずは、できるだけ多くの検査(客観的な検査)をしました。
しかし、その中には、
複雑で数値化し難い精神的分析は含まれていません。

極論すれば、不育症患者さんを診るのではなく、
その検査データを見ていました。


今は、身体的な状態以外に、
こころの状態も、同時に診させていただいています。

精神的な原因の存在はもちろんのこと、
こころのアンバランス由来とも考えられる
身体的な異常検査項目が、
少なからず存在していることが判明してきているからです。


流産するということが、どれほど、
その人にトラウマ(心的外傷)になっているのか。


流産した。お産が流れた。妊娠が中断した。
何か物がうまく成長できなかった。
このような感覚は、
流産を経験したことのない人の感覚と思います。


流産手術時のもうろうとした半覚醒の時に、
びっくりするようなこころの深層心理を
無意識に表現される患者さんがいらっしゃいます。

たとえば、実例ですが、
「あかちゃ〜ん、私の命あげるのに〜。」
「一番つらかったのは、あかちゃんだよね〜。」


流産した子宮内の胎児は、
生まれて亡くなった新生児となんら変わらない
人(ヒト)であると、
私は思っています。


ただ、触れることはできない、
声を聞くことはできない、
画面を通してしか見ることができないだけなのです。

人社会が法律で定義する「人間」と、
生物としての「人」は、往々にして違っています。
この違いが、
周囲の人とご本人の感覚のズレを生んでいるのかもしれません。
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49. 悲しい手術

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49. 悲しい手術
ほとんどの手術は、手術前の状態より良くなるために行われます。
ですから、大きな希望があります。

対極的に、流産手術は悲しい手術です。
流産 (子宮内での赤ちゃんの死亡) を宣告され、
絶望と悲しみのまっただ中に行われる手術です。


10年以上も前のひとりの患者さんのことをよく思い出します。
非常に難治性の不育症患者さんでした。
10年間以上も私を信じて、
流産しても、流産しても、
私のいろいろな治療を受けてくださいました。

しかし、
10回以上も、流産手術を行うことになってしまいました。

あまりにも過酷で悲しくて、
無言のまま、流産宣告をし続け、

最後の数回は、ご本人の希望により、
流産手術を麻酔なしで行いました。


ご本人は、感情が凍りついており、
痛みさえ感じないようでした。
いや、
身体的な痛み以上に、
こころの痛みが極まっていたのかもしれません。


たぶん、自分の命より大切な命だったのではないでしょうか。
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48. 悲嘆のプロセス:その5、「立ち直り」

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48. 悲嘆のプロセス:その5...
反省 と 後悔、 不満、
わかったことと、おぼろげながら見えてきたこと、
まったく見当もつかないこと、など、
いろいろな感情と情報が交差してくる時期があります。

流産した赤ちゃんは、決して忘れられません。
時間をかけても、その記憶は鮮明に残っていると思います。

絶対に、無理に忘れようとしてはいけません。


いろいろな感情のうずのなかで、
流産した赤ちゃんを
こころの中に受け入れようと思い始めたとき、

「立ち直り」

の状態になりつつあると思います。


自分の人生、自分を信じて、
自分が信じることをするしかないのです。
自分の分身として、
赤ちゃんは来てくれるのですから。


Let it be.
Tomorrow is another day.

人生いろいろ。
ケイセラ〜セラ〜、なるよう〜になる。
川の流れに身をまかせ。


実際、現実的には、こころの安定は非常に困難です。

何かのきっかけで、繰り返し、
「悲しみ」
「抑うつ」「無気力」
の状態に、すぐに舞い落ちてしまうことでしょう。

しかし、めげずに、何度も何度も、繰り返して、
気分を前向きに方向づけ、
ゆったりと、まったりと、過ごしましょう。
人生、何とかなるものです。
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47. 悲嘆のプロセス:その4、「現実直視」

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47. 悲嘆のプロセス:その4...
「抑うつ」「無気力」な状態から、
少しこころが活動し始めると、

「なぜ?」
赤ちゃんは亡くなったのか、

何がいけなかったのか、
流産を繰り返すとはどういうことなのか、
無性にこの現実を知りたくなると思います。


10年ぐらい前でしたら、その情報を知るすべは
ほとんどなかったと思います。
たぶん、それまでの先生から、
「私の知っている大学病院に紹介します。」
と言われ、大学病院なら権威の象徴だから、
たぶん大丈夫と、
自分を納得させていたのではないでしょうか。

大学病院というブランドが治療してくれるのではないのです。
大学病院の教授がすべてに優れているのではないのです。
大学病院のそれぞれの先生が、
どの分野に優れているかが問題なのです。


現在では、インターネットがあります。
ブログには、患者さんの生きた言葉があふれています。

洪水のような情報量ですが、
その中から、自分の現在の状況が
少しずつ見えてくると思います。
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46. 「抑うつ」「無気力」状態から抜け出す方法

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46. 「抑うつ」「無気力」状...
「抑うつ」「無気力」状態から、抜け出すひとつの方法は、
流産する前の、元気だった自分を思い出してみることです。
何かに一生懸命だったと思います。
自分がすきだった事があるはずです。
それを擬似体験でもいいから、やってみてください。
少しでも感動するという感情が大きな助けになりますから。

どこか、大声をだせる場所をみつけて、
こころから叫んでみてください。
こころが一瞬でも反応しますから。

以前すきだった陽気な歌を口ずさんでみてください。
たとえば、
ケイセラ〜、セラ〜、なるよう〜になる〜。

また、天気のいい日に、のんびりと散歩してみてください。
気持ちのいい風と、
気持ちのいい太陽の光が、
あなたのこころに届くと思います。

体を動かすことは非常にいいのです。
ストレッチするのもいいですし、
また、マッサージを受けるのもいいと思います。


さらには、甘党の方ならば、
カロリーを忘れて、いろいろな甘いものに挑戦してみてください。
こころがとろけるように。


どうしてもうまくいかないときは、
大きな目標は一時保留にしておいて、
当面、あしたできたらいいなと思うことを決めて、
少し前進してみてください。
小さな達成感でも意外と助けになりますから。

なんでもいいから、こじつけでもいいから、
周りのおかしいこと、こっけいなことを見つけてください。
そして、無理してでも、笑ってみてください。

それも難しそうならば、
かがみの前で、自分の顔をまじまじと眺め、
作り笑いをしてみてください。
少し、こころが動くと思います。


少しずつ、ゆっくりと、
前進したり、後退したり。
でも、きっと何とかいい方向へ
向かっていくと思います。

あなたは孤立してはいません。
同じような悩みを抱えた仲間が、
インターネットの向こう側で待っていますよ。
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45. 悲嘆のプロセス:その3、「抑うつ」「無気力」

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45. 悲嘆のプロセス:その3...
悲しい気分から、
すべてにゆううつ、何か空虚、むなしい感じ、
何も楽しめない、いつも疲れている感じに
なっていきませんでしたか。

このような「抑うつ」「無気力」な状態は、
この先ずっと続く人もみえますし、
何かのきっかけで繰り返し襲ってくる人もみえます。

こころの張り、あるいは、こころの気が、
自分の体から逃げている状態です。


几帳面で、正義感が強く、何事にも熱心な人。

悪い結果を、他人のせいだと思うより、
まず、自分のせいだと思ってしまう人。

このような執着気質で、こころ優しい人は、
一般的に、
「抑うつ状態」が長く続く傾向があると思っています。
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44. 悲嘆のプロセス:その2、「悲しみ」

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44. 悲嘆のプロセス:その2...
「パニック」状態から、時間とともに、
少しずつ感情が解けてきます。
たぶん、一人になったとき、
あるいは、
信頼できる人から優しい言葉をかけられたとき。

すぐには、そのつらい現実が受け入れられなかったと思います。
何か、無性に怒れてきませんでしたか。

その相手は、医療関係者であったり、
ごく親しい人であったり、
あるいは、自分自身であったり、
自分の運命であったり。


次第に、現実を受け入れざるをえなくなったとき、
「悲しみ」
が津波のように襲ってきたと思います。


この「悲しみ」のプロセスは、非常に大切です。
十分に時間をかけて、
亡くなった赤ちゃんを悲しんであげてください。


その悲しみの感情が赤ちゃんに届き、
天国の赤ちゃんが
あなたを癒してくれますから。

自分を、責めないでください。
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