夢は必ず達成できる
わけではありません。
心身とも不安定な状態で
不安定なものを追いかけているとき、
どうしようもなく
不安になってしまいます。
そんなときは
何でもいいから
何か確かなものを見つけてください。
走り続けているときは
強制的に
たとえ数日間でも
「休息」
を取ってみてください。
そして
将来、
「 女 性 と し て
これだけは達成できなかったことが起こったとしても、
それ以外のことでは
達 成 で き た といえるよう 」
何かしっかりしたものを見つけ、
そのしっかりしたものに向かって、
前進していってください。
あなたの人生が
充実した一生であった
と思えるように。
小さな小さな赤ちゃんを亡くして
真空状態のあなた。
今、赤ちゃんにしてあげられることがあります。
亡くした赤ちゃんの妊娠反応が陽性になった日より、
約八ヵ月後がその子の出産予定日です。
もし生まれていれば、
今、何歳になりますか?
そう、
亡くした赤ちゃんを
想ってあげたとき、
その赤ちゃんは
あなたの心の中で、
よみがえっているのです。
あなたの心の中では
生き続けているのです。
ときには
あなたの夢のなかで
遊んでいませんか。
その赤ちゃんが
きっと
「今度、来てくれる赤ちゃんを
この世に生まれてこれるよう」
助けてくれますよ。
あなた自身は
今、
「 心 の 居 場 所 」を
なんとしても見つけてください。
たとえば
神社、仏閣めぐりとか、
温泉、マッサージとか、
有酸素運動とか、
同じような仲間との交流とか。
今度来てくれる赤ちゃんが
無事に育つために。
子宮内の小さな赤ちゃんは、
心身ともに
あなたと一体なのですから。
連続流産という深い喪失体験をしている人は、
もがくように、
一生懸命がんばって、
少しでも早く普通の妊娠女性に追いつけるよう、
走り続けているように思います。
早く妊娠したい。
早く赤ちゃんを抱きしめたい。
往々にして、
その焦りが災いとなり、
かえって、から回りしてしまいます。
過剰なストレス状態では
何もうまくいきません。
妊娠するまでも
ゆっくりさんでいいんです。
妊娠されてからも
あわてず、
赤ちゃんの生命力を信じてあげて、
たとえ、
初めは標準発育値より遅れていても
その赤ちゃんはゆっくりさん
と考えてください。
必ず、追いついて、
追い越した発育状態になっていきますよ。
あなたの人生がゆっくりさんなのですから。
これからも、
ゆっくりさんでいいんです。
着床障害の定義は現在、世界的に未確定です。
欧米の生殖研究者の多くは、
ハイレベルな体外受精クリニックにて、
移植可能な卵(受精卵)を
3回以上移植しても妊娠成立しない状態を
着床障害と定義しています。
着床障害の原因として、
一部の体外受精専門クリニックの先生は、
現時点においても、
すべて卵(受精卵)の質の異常
(偶然的、必然的な染色体異常という運命)が原因
であるかのような説明をされていますが、
実際は違います。
欧米の一部、特に米国においては、
着床障害の治療のひとつとして、
着床前診断(着床前スクリーニング)が
行われています。
その検査方法もFISH法からCGH法へ
改良されているようです。
その最近の研究報告によれば、
(Fertil Steril, 94:875-87, 2010)
初期胚(分割卵)での染色体異常率は約65%、
胚盤胞での染色体異常率は約45%、
であったとのことです。
それ以前の同様の研究論文においても、
卵の染色体異常率(質の異常率)は
約60%前後と
報告されています。
ここで、単純計算してみますと、
胚盤胞移植して、
運命的(卵の質的)に着床できない確率は、
一回につき、多くて約45%ですから、
(染色体異常のある卵がすべて
着床できないのではなく、
異常の種類によっては
運命的に、
化学的流産、妊娠初期流産となっていきます。)
三回連続して
運命的(卵の質的)に着床できない最大の確率は、
45%x45%x45%=約9%
となります。
これらの根拠により、
3回以上移植しても妊娠成立できない状態を
着床障害と定義して、
卵の質の異常以外の原因、
つまり、
「 子 宮 内 環 境 の 状 態 」
を、検査する必要がある
と考えられているのです。
私は、現時点では、
一流の体外受精クリニックにて胚移植を受けるも、
5回以上の移植治療が妊娠反応陰性、
あるいは、化学的流産に終わった状態を
着床障害と考えています。
当院での2008年5月から2年間の
着床障害に対する治療成績は、
一回の治療につき、
妊娠維持:出産成功率が
約34%でした。
治療内容は
心身の両面より、
複数の危険因子を見つけて、
心身両面からの予防治療となっています。
過去に20回の胚移植治療を受けるも、
すべて不成功であった40歳台の患者さんが、
当院の検査に基づく心身調節療法を受け、
現在、
妊娠中期で順調に経過しています。
2010年12月31日より2011年1月5日まで、
ベトナムのホーチミンに旅行してきました。
いい 「休養」 になりましたが、
疲れました。
今度の週末には 「休息」 を十分に取る予定です。
ストレスがたまってイライラしているときは、
「休養」 と 「休息」 が一番です。
「休養」 として、
好きなことをしたり、好きなものを見たり聞いたりすれば、
心身がリフレッシュされ、
「休息」 として、
十分な睡眠と、
落ち着く場所でボーとした時間を過ごせば、
心身が休まります。
休みの日に、
「休息」 と 「休養」 を意識して過ごすのも、
人生の知恵のひとつと思います。
「 私 は 悲 劇 を 愛 す る。
悲 劇 の 底 に は
何 か し ら
美 し い も の が あ る か ら。 」
私はこのチャップリンの言葉に深く共感しています。
私は30年以上の不育症の治療のなかで、
4000組以上の不育症ご夫婦を治療させていただき、
1回の妊娠治療につき、
約8割の成功率を残しています。
今年は、16回の流産の後、
17回目の妊娠治療で初めて、
元気な赤ちゃんを出産された不育症患者さんも
経験させていただきました。
これまでに、
非常に多くの不育症患者さんからの
感謝のお手紙と
元気な赤ちゃんの写真を
いただいています。
本当にうれしいことです。
自分の医師としての人生の生きがいです。
神様に感謝しています。
でも、
もっと深く
心を動かされ
私の記憶の中に
焼きついて離れない患者さんたちが
いらっしゃいます。
どうしても
うまくいかず、
年齢の壁に阻まれて、
治療を断念した人たちです。
その悲しげな、
そして、
やさしいまなざしが
忘れられません。
世界の喜劇王、
チャップリンは
世界中の人たちに
笑いという心のプレゼントを
与え続けた人ですが、
悲劇的な運命に対しても、
立ち向かい、
受け入れる、
受け入れるしかない心の深淵に
人間の美しさを
感じ取っていたのではないでしょうか。
初めての妊娠においては、平均的に
100人中15人ぐらいが流産されています。
その15人中10人ぐらいが
卵(受精卵)の異常(染色体異常)
による運命的な流産です。
その運命的な流産のほとんどは
たまたまの異常な精子、
あるいは
たまたまの未成熟な卵子
による受精
という偶然的な運命による流産です。
それは、
数週間というわずかな命しかもらえなかった
赤ちゃんの運命なのです。
一方、
2回以上の連続した流産を経験された
不育症の患者さんの
偶然的な卵(受精卵)の染色体異常による
運命的な流産(神様が決めた流産)は
100人中15〜20人に発生しています。
ですから、不育症の治療において、
一回の妊娠治療で
100%の成功率はありえません。
運命は受け入れるしかありません。
神様の領域ですから。
仮に、流産したとしても、
その流産した赤ちゃんが
染色体異常という運命によるものであったならば、
その赤ちゃんは
神様からもらった命を
子宮の中だけの生活だったけれでも
命をまっとうした
ことになるわけです。
日々、
多くの悲しい運命という現実に向かい合っていると、
生きている命の尊さ、はかなさを
いつも痛切に感じています。
今、何かしら頼りない不安定な状態のあなた、
今、何かにいつも追われているような気分のあなた、
今までの自分の人生に何か後悔があるあなた。
大丈夫ですよ。
人生は短いようで長い、
人生はこれからです。
ちょっと幸せさがしの世界に入ってみませんか。
今、あなたは体に痛みを感じていますか。
今、あなたは呼吸が苦しいですか。
痛みもなく、自然に呼吸ができていれば、
あなたは最低限、幸せに生きていますよ。
私は、
いつでも自分の好きな所へ、
自分の足で歩いていけます。
朝のごはんをまあまあ、おいしく食べられます。
たまに、甘いおやつをいただくと小さな幸せを感じます。
夜はぬるめのお風呂にゆっくりつかり、
ボーとしています。
少し体を冷やしてから、
何も考えずに休みます。
つらいことも多いですが、
いいこともあるものです。
不育症にはいくつもの原因があり、
多くの例で、複数個の原因が重なっています。
その原因には
子宮奇形、染色体異常のような先天的なものと、
何らかの偶然による後天的なものがあります。
ただ、その原因があれば、
必ず流産するというものではありません。
また、完全な治療をしても
運命的な流産率(20%前後)は
受け入れるしかありません。
非常にややこしいのです。
もっとややこしいことは、
不育症には、
心の原因と体の原因があるということです。
心と体は密接に関係し合っていますから、
どうしても
心 と 体 を 全 人 的 に 診 る
必要があるのです。
ですから、
不育症は一般の産婦人科医から見て、
扱いにくいのです。
残念なことに、
不育症の治療は流産を予防する予防医療ですから、
必要十分な絶対的な治療はありません。
どうしても過剰治療ぎみになってしまいます。
また、保険内での検査では多くの例で、
原因不明となってしまいます。
さらに、体のみを診て、
原因が見つからないとき、
「原因はない」
とは言えません。
たとえ過去の流産が
運命的な偶然的な流産の連続であっても、
その辛い喪失体験によって、
少なくとも、
心の状態は以前とは違うのです。
「 そ の 人 の 心 に 寄 り 添 い、
亡 く な っ た 赤 ち ゃ ん の 魂 を
癒 し て あ げ た い。 」
不育症の治療には、
専門的知識と技量、経験以外に、
ご夫婦の心と、
亡くなった赤ちゃんの魂への
癒しのわざ
が必要であると思います。
2010年11月中旬に
妊娠36週で元気な赤ちゃんが誕生しました。
出産された方は
最初の頃こそ自然妊娠できたものの、
途中から体外受精による妊娠となり、
そのうえに、
記憶があるだけでも過去16回の流産を経験されています。
(流産がありすぎて、正確な数はわからず、
少なくとも16回との事でした。)
14回目の妊娠前からは
私による検査と治療を繰り返してきました。
ご夫婦の染色体検査、子宮奇形のMRI検査、
卵巣機能検査、プロラクチン負荷検査、甲状腺機能検査、
凝固系検査(第12因子、プロテインCとS活性検査)、
抗リン脂質抗体検査(抗CL抗体、抗PE抗体、抗PT抗体、LAC)、
はすべて正常でした。
異常検査項目として、
NK細胞活性は異常に高く、M-CSFは異常に低く、
精神的には不安障害あるいは適応障害を認めていました。
14回目から16回目までは、
支持的精神療法、精神薬物療法、
ピシバニール免疫療法、
さらに、
黄体ホルモン補充療法、
アスピリン・ヘパリン療法、
ステロイド内服療法、
ステロイド子宮内洗浄療法
を行いましたが残念ながら繰り返し流産されてしまいました。
検査した流産組織の絨毛染色体検査は正常でした。
つまり、今までの治療法では
流産を予防できないということです。
今回の17回目に行った治療法は、
支持的精神療法、精神薬物療法、
ピシバニール免疫療法、
さらに、
バイアグラ膣錠療法です。
今回の妊娠中期からは、
東京の不育症研究でも高名な教授に
診ていただき、
さらなる流産早産予防治療がなされました。
東京での長い入院生活を乗り越えて、
まさしく、
17回目の奇跡が起こったのだと思います。
ご夫婦のこれまでの苦難とがんばりに
赤ちゃんが応えてくれたのではないでしょうか。
生まれることができなかった今までの赤ちゃんの分まで、
幸せになってほしいと思います。
本当におめでとうございました。
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