優しい死神の飼い方
5月
17日
天使にまつわる物語を探している中で、
なぜかふいに見つけてしまった「死神」の物語。
小説のタイトルが絶妙すぎて、
これ以上の言葉が思いつかないので、
記事タイトルも作品名そのままで行きます。
本来は霊的な存在であるはずの「死神」が、
上司の気まぐれで、犬の体に入れられて、
「仕事」をこなす、ヒューマン(?)ドラマ。
死期が迫る人間の、哀しい未練を断ち切るために。
そして最後は、大切な笑顔を守るために。
とても尊大で可愛らしい「ワンコ」が奮闘する冒険譚。
人の生き死にや未練にまつわる物語なだけに、
やや重たい部分もあり、
本当に読み切れるのかと、最初は不安になりましたが、
バラバラに見えるエピソードが次々とつながっていくにつれて、
どんどん話に引き込まれていきました。
少しずつ明らかになっていく謎と、
「丘の上の屋敷」にまつわる様々な記憶や想い。
それらが絡まり合いながらも、
一本の筋に収束していく様が見事で、
ところどころ、「ああ、これも伏線だったのか」と、
心地よい感動を味わいました。
あまりにも綺麗につながりすぎている気がしなくはないけれど、
舞台装置や時系列の設定が素晴らしく、
それほどご都合主義にも感じませんでした。
何よりも、「死神」をワンコにしてしまうという発想が素晴らしい!笑
おかげで、やや重たいテーマながらも、
とても楽しんで読むことができました。
さてさて、お次はニャンコが出てくる次回作。
主人公はおそらく、あの「同僚」なのではと予想中。
少し重たいけれど、とても可愛くてあたたかい、
そんな物語をもう少し楽しめそうです。