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投稿日 2023-07-01 22:23
猫の揺りかご Blog
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hotaru
まるでラジオの周波数が、外界の雨と湿気のこもった部屋の空気とでおかしくなってしまったかのように、パーソナリティーの声は割れ、不規則なノイズに邪魔されて、BGMも途切れ途切れにしか聞こえない。亜理紗はテーブルに無造作に置いたレジ袋から、ガサガサとコンビニ弁当を取り出して、電子レンジのスイッチを押した。...
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投稿日 2023-07-01 18:22
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出窓から彼の姿を確認し、わたしは階段を駆け下りる。キッチンからはスクランブルエッグの美味しそうな香りが漂っていて、わたしは思わず足を止める。ピンポン、というチャイムの音に、わたしは我に返り、家主も慌てて玄関に向かう。彼女が「セールスお断り」のステッカーが貼られたドアを開けた瞬間、わたしはすかさずドア...
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投稿日 2023-06-30 23:48
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hotaru
時間も字数も守れていないので、タグ付けはしませんが、 Twitterで流れてきた300字小説のお題で詩を書いてみました。 かなり抽象的な表現にはしていますが、 不衛生な描写や暗い表現が含まれますので、ご注意ください。 *****************************************...
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絵あわせカードっていろいろありますが ボームにもオリジナルのカードセットがございます!お子さんはもちろんですが 大人も楽しめる秘密があります。Apple(りんご)が欧米では子どもに持たせるランチバッグの定番おかず(?)だよ、とかMilkの紹介は、欧米のスーパーではおなじみのガロンサイズの牛乳イラスト...
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投稿日 2022-06-03 23:14
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うだるような暑さの中で、君に別れを告げる。じりじりと焼けつくような痛みが胸を襲う。焼け焦げた想いはまるで、干からびて朽ちかけた蝉の抜け殻のようで。揺らめくアスファルトの湯気を呆然と見つめながら、君にさよならを告げた――。...
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投稿日 2022-05-05 22:54
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盲腸で入院した彼女を見舞うために、僕は病室に足を踏み入れる。 そこで目にしたのは、彼女のとびきりの笑顔。 「ねえ、このキーボード、可愛いでしょう?」 小説家を目指している彼女は、 病室に自前のパソコンとキーボードを持ち込んでいた。 「どうしたの、それ」 「奮発して買っちゃった」 えへへ、と笑いながら...
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投稿日 2022-05-05 11:59
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「感情なんて、地図のない宇宙だよ」 またもや教授が難解な言葉で何かを語ろうとする。 「まるで、このおでんのように?」 適当に相槌を打ってみれば、教授はそうそう、と嬉しそうに頷く。 (やっぱこの人は、単に話し相手がほしいだけなんだ……) ひらめきが確信に変わり、やがて諦観へと変わっていく。 「時に教...
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投稿日 2022-05-05 11:34
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「『盗賊も改心するほどの美味しさ!』ってのはどう?」 開発したばかりの新商品を試食しながら、彼が得意げに声を上げる。 「う~ん。パンチを狙いすぎてる割には、パンチが足りない……」 私は蓮華ですくったスープを啜りながら、ダメ出しをする。 「じゃあ、『美味しさの圧縮袋、ここに見参!!』とかは!?」 「…...
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投稿日 2022-05-05 11:09
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「蓮華畑に寝転んでいたらね、盗賊の彼が迎えに来てくれたの!!」 「まるで少女漫画のエッセンスが圧縮、いや、凝縮されたような夢だね」 昨夜見たという夢の内容を嬉々として語る彼女の横で、 私は苦笑交じりにコーヒーを淹れる。 夢よ覚めろとばかりに殊の外ブラックにしてやろうか。 それともここは、己の幻想がい...
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投稿日 2022-05-05 10:49
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ゴミのように積まれたファイルの山に埋もれながら、 カレーライスを頬張る。 目の前にあるのは新品のパソコンとキーボード。 味気の無いレトルトカレーを咀嚼しながら キーボードを触れば、 メカニカル特有の心地よい打鍵音が虚しく響く。 「こんなことのために買ったんじゃないだけどな……」 趣味の小説を思いっき...