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14.ある不育症患者さんの手記(2−1)

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14.ある不育症患者さんの手記...
手記の2回目として、
妊娠中期と後期に2回も死産を経験された
患者さんの手記を、
編集して、ご紹介させていただきます。

この患者さんからも、
「 医学的根拠を 実 践 す る 医療 」 とは別の、
人間として、
多くの大切なことを教えていただきました。



〜3人の我が子にありがとう〜


「 死産された胎児は男の子でしたか?女の子でしたか?
名前はつけられましたか?
今、あなたが成すべき事は、2人の死産した胎児を
心から供養してあげることです。 」
私が、当時の城西病院でお世話になろうと決めた青木先生の言葉。

ある日、初めての妊娠が分かった。
まだ、人間への進化をたどっているような小さな小さな体にも、
ちゃんと心臓がついていて、しっかりと鼓動している様子に、
胸が熱くなった。


妊娠5ヵ月の健診。

胎児の心音を確認する為に機械をお腹にあてるが、
いつものあの元気な「ドクドク」という音が聞こえない。
嫌な予感がした。
先生は、色々角度をかえて心音を探している。

「 あれ?おかいしなー 」とつぶやきながらエコーをお腹にあてる。
「 これは、いかん。赤ちゃん死んでるよ。 」

悪い予感が当たってしまった。
血の気が引くというのは、こういう事を言うんだろう。
頭が真っ白になった。


会計を待つ間、
自分の置かれている立場がまるで他人事のような気がしていた。

病院を出て、夫の車に乗り込み、初めて涙が流れた。

「 ご め ん ね、赤ちゃん。
ずっと一緒にいてあげられなくてごめんね。 」


産む・出産・・・そんな言葉は
生きている子供にしか使えないのだろうか?
陣痛促進剤を使って、
分娩の処置がとられた。

お腹の痛みが徐々に増していく。
まさか、こんなに早くお産を経験するなどと思っていなかった。
分娩台に上がり、
いつどのタイミングでいきめばいいのか分からない。
助産師さんが、私のお腹を痛いほど、グイグイと押す。

ここで「いきむ」というのをやってみたらいいのかな?
たった1回でスルっと赤ちゃんが出てきた。
「 上手に出来たね。 」 助産師さんが言った。

私は、赤ちゃんを見るのが怖くて、
ぎゅっと目を閉じていた。
5ヵ月の赤ちゃんはどんな姿をしているのだろう?
怖かった。

しかし、
それ以上に赤ちゃんの姿が目に焼きついて
後から悲しみがもっともっと大きく膨らんで
ずっと後をひきそうな気がして怖かった。

その後、子宮内容除去術という手術を受けた。
腕に麻酔を打たれ、
13まで数えたがそれからの記憶はない。


わたしは、真っ白な世界にいた。
一生懸命、目を開いても何も見えない。
死ぬ瞬間って、こんな感じなのかな。
手をつねっても痛くない。
顔をさすってみるが、あまり感覚がない。

気持ちが悪い。
吐こうとするが、のどがカラカラで吐けない。
麻酔から覚める時は、
朝目覚めるのと同じように起きられると思っていた。
こんなに苦しいものだとは思わなかった。

急に、自分がすごい罪を犯したことに気が付いた。
私は、赤ちゃんを死なせてしまった。
この苦しみはきっと罰なんだ。


白木の箱にいれられた赤ちゃんが
夫の手に渡された。
夫に頼んで、その箱を抱かせてもらう。
顔を見てあげることは出来なかったけれど、
赤ちゃんの重みを感じたかった。
今も、手の中に残るフワっとした感じ。


流産を経験してから、
子供が欲しいという気持ちが一層強くなった。

お腹の大きな妊婦さん、ベビーカーに乗った赤ちゃん、
TVで流れるオムツのCMですら、
私にはすごく眩しくて、目をそらしてしまった。


ドラマの中でヒロインが妊娠する。
次の回ではもう出産・・・そんなに簡単なものではない。
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13.医療者側からも受けるストレス

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13.医療者側からも受けるスト...
流産や死産を繰り返して経験すると、
思いがけない人からも、
予想外のストレスを受ける場合がよくあります。

そのストレスは、たとえば、
医療者側からもあるのです。
良かれと思って言われた言葉、
また、
かたよった考えによる助言
などによるものです。


城西病院で不育症患者さんを診させていただいた当時、
その看護に従事していた助産師さん(Sさんら)、看護師さんを中心に、
医療者から受けたストレスについて調査しました。
その主な結果では、

「たまたま、2度 流産したのです。」
「5〜6回妊娠すれば1回くらいうまくいきます。」
「流産の経験なんて、ほとんどみんなあります。」
「化学的流産はよくあることだから、なかったことにしましょう。」

また、検査や治療について、
「2度の流産では検査はしません。」
「不育症には原因がないことが多いのです。」
「流産には治療はありません。」
「バファリンを飲んでだめなら何をしてもだめです。」
「ヘパリン?まったく必要ありません。」
「そんなに遠い所まで治療に行ってお金の無駄です。」
「あなたはもう手に負えません。」

などを、
な げ や り な 態 度 で言われたこが
ストレスになっていました。


最近では、医療者からではないですが、
親友から、
「あなたみたいになりたくないから、
早く妊娠したんだよ。」
と明るく言われて、
人間不信、抑うつ状態なってしまった患者さんもみえました。


以前にも書いていますが、
「3回流産すると、人格が変わる。」
と考えるまで、追い込まれてしまう場合があるのです。

ストレスと向かい合うしかないのです。
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12.ある不育症患者さんの手記(1−5)

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12.ある不育症患者さんの手記...
〜私たち夫婦には生まれてこられなかった
5人のあかちゃんがお空にいる〜


そして、次の月に6回目の妊娠。
娘がお腹に宿った。

4度目の入院で初めてフラグミンではなく、
朝晩のヘパリン注射になる。
正直、フラグミンは窮屈だったので、
ヘパリンになり開放感があった。
外出も容易になったので思い切って、
朝のヘパリンを打って外出し、
病院へ戻るのは、
夜のヘパリンの時間という生活をずっと続けた。


暇を持て余して病院にいるより、精神的にとてもよかった。


今まで、赤ちゃんへの影響を心配し、
飲むのをためらっていた
精神安定剤 も 毎日飲む。


先のことより、
とにかく 今 を 大 切 に、
今 こ の 時 を
乗り切りたいと思っていた。


今 ま で と は 違 う 何 か をしたかった。


心拍を見たのは初めてだった。
それは、力 強 く 鼓 動 していた。


内診台の上で、しばらく涙ぐむ。
この台の上でこんな涙が流せるなんて・・・胸が熱くなった。

この子を絶対に失いたくない!
お母さんも頑張るから、
赤ちゃん、
あなたもしっかりとお母さんのお腹につかまってるんだよ。
そう、語りかけた。

だんだん2頭身になり、人間らしい形になっていく。
へその緒が見えたり、動いたり・・・まだ少し怖いけど、
大嫌いだった内診の日が待ち遠しくもなる。


そして、迎えた無事退院の日、


今度は空っぽのお腹じゃなくて12週の赤ちゃんと一緒。
帰り道、すれ違う人たち皆に、聞いて!
私のお腹に赤ちゃんがいます!
元気に育ってます!
そう言って歩きたい程、うれしかった。


自分が女性として、
欠陥品の様に思えてどんどん卑屈になって、
暗い顔で泣いてばかりだったあの頃、
ずっと側で支えてくれた主人にも
本当にありがとう。


夜中に、突然、絶望感が襲ってきて、
吐く程泣き続けてしまったことがあったけど、
あの時は、落ち着くまで、

ただ 抱 き し め て くれてありがとう。



Dr青木のコメント:

( この患者さんのこころの変化が、
あかちゃんに通じたのではないでしょうか。

私とスタッフでできることは、
それほど大きなものではありません。

今回、
患者さんとの相談の上で、
従来の身体的予防治療以外に、
心身のリセットを助ける目的で、

ステロイド療法と
カウンセリング、
精神薬物療法を

追加して治療しました。 )



私が経験した幾度かの悲しい出来事は、

きっと私の人生にとって意味のあることだったはず。

乗り越えなければならない試練だったと。


〜私たち夫婦には生まれてこられなかった
5人のあかちゃんがお空にいる〜

終わり。
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11.ある不育症患者さんの手記(1−4)

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11.ある不育症患者さんの手記...
〜私たち夫婦には生まれてこられなかった
5人のあかちゃんがお空にいる〜


そして、半年後、5回目の妊娠、3回目の入院。

「 だめ元できました。 」
そう看護師さんに笑顔で言ってみたけど、
内心は真剣そのもの。
でも、軽く考えているフリでもしなくちゃ、
この緊張状態に耐えられない。


でも・・・またしても、経過がおもわしくない。
あまり成長していなかった。
辛い・・・誰ともしゃべりたくない。



Dr青木のコメント:

( 精神的ストレスがマグマのように顔を出ていました。

この時点で、

精神的な安定剤の助けを借りて、
もっともっと自分にやさしく、
自分と向き合って、
自分の弱さを認め、
がんばらずに、
すべてを許し、
一度、
心身のリセット をして、
できるだけ、
生まれ変わったようにしてみましょう。

と、お話しました。 )



心も体も、もう限界。
少し休もう!
あきらめるか、病院を変えるか、
再度、青木先生の元で挑戦してみるか、

どっちにしろ1年間は子供のこと、流産の事、
何も考えずに暮らしてみよう。


毎朝計る体温も、毎月排卵日を気にするのも、
不妊の本を読みあさるのもやめよう。
全てから開放されたかった。


度重なる処置と心労で体調も悪かった。
生理周期の乱れや生理の血量が減ったり、
注射を打たないと排卵しなかったり。
通院が辛かった。


お腹の大きい妊婦さんがすごく誇らしげで、
女性として完全に負けた気分になる。

待合室の隅に座り、
下を向いている自分がひどく惨めで、
涙が溢れた。


あの人たちと私の何が違うんだろう?
欲しくて 欲しくて たまらないもの、
でも、
どうしても手に入らないものを持っている人たちに対して、
とても意地悪な気持ちになった。

人を恨んだり、妬んだり・・・
ちっともやさしい気持ちになれない自分が嫌で、
不妊専門のカウンセリングを受けてみたりした。


誰にも言えない、理解されにくい気持ちを
ひたすら聞いてもらうだけで、
閉じて、ささくれたっていた心が少し楽になった。

入院中にお友達になった子に勧められて鍼灸へも通った。
ウォーキングに励んだり、
食生活を見直し、
体の冷えの改善をしたり、
バイトして毎日忙しくして
赤ちゃんのことをあきらめ切れないながらも
考えない様に努めていた。


最後の流産から1年程たって、
また、挑戦したい気持ちにもなりつつあったけれど、
怖い・・・怖くてたまらない。
内診の日が怖い。
台に上がって、
先生の言葉を待つ時間が怖い( ほんの2〜3秒だけど )


入院生活に心が耐えられるのか、自信がなかった。
前へ進みたいけど、
1歩が踏み出せなくて先送りにしていた。


そんな頃、3度目の入院の時に出会った友達が
“ひろはまかずとし”の詩集をプレゼントしてくれた。
愛知県蒲郡郡出身の詩人で、
その人の詩と絵が私がとても好きだといったのを覚えててくれて、
贈ってくれたのだ。


その詩集のタイトルは、

“きっと大丈夫”。

その言葉が、心の深い所へ染みていき、
勇気に変わった。

前へ進もう!
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10.ある不育症患者さんの手記(1−3)

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10.ある不育症患者さんの手記...
〜私たち夫婦には生まれてこられなかった
5人のあかちゃんがお空にいる〜


自宅へ帰ってからも、とにかく無気力で泣いてばかりいた。
今のこの状況、辛い日々から抜け出すには、
とにかく次の妊娠しかない。

私の頭の中は、赤ちゃんの事しかなく、
とにかく一直線になってしまっていた。
そして、4人目の赤ちゃんがやって来た。


今度は不育の人が集まる部屋は嫌だった。
どうしても経過を比べてしまう。
成長の1ミリの大小でも不安になり、
尿の数値の多少も気になる。
つわりの有無も不安材料の1つ。
幸い今回は、他に不育症の人がいない部屋だったので、
落ちついていられたと思う。



Dr青木のコメント:

( 前回と同じ身体的治療以外に、
追加治療として、
できるだけ、精神的安静が得られるように、
薬物療法以外はすべて行いました。

しかし、
超音波検査で胎のうの発育さえ見られず、
「稽留流産」の可能性が高い
ことをお話しました。 )



まさか!?なんで!?台の上で足が震え、涙がこぼれた。
時が止まった、
冷たい時間が流れる。
「これから大きくなるかもしれないよ。」
先生が、ポツリと言ったけど、わかっている。
気休めだって事くらい。


それから、最悪の精神状態。
トイレの個室にこもり、声を殺して泣きたいだけ泣く。
目がポンポンになった。
でもまだ、最後通告をされた訳じゃない!と、
自分を励まし、部屋へ戻った。
布団を頭からガバッとかぶった。
考えない、考えない。
成るようにしかならないんだから。
そう言い聞かせる。


私の前のベッドの人が3人目の出産間近の妊婦さんで、
赤ちゃんの心音を聞いているらしく、ドクドクと音が聞こえる。
すごく羨ましい。
お見舞いに来ているご主人と子供達と楽しそうに話をしていた。

なんて惨めなんだろう。
涙と鼻水が出てきた。
泣くな、泣くな。でも、もう駄目。
声を殺しても、漏れてしまう。
ついに、部屋中に響きわたる声で泣いてしまった。
かっこ悪い。


皆、びっくりして心配してくれる。
看護師さんが来てくれて背中をずっと擦ってくれた。
私の心が落ち着くまで、ずっと。
優しくしてもらって、また涙が出た。
足浴もしてもらって何とか落ち着いた。


でも、夜になると、悪い方へ悪い方へ思考がいき、
眠れなくなる。
真夜中の病院をフラフラさまよったり、
主人に電話して泣いたりしていた。
限りなく低い可能性を信じることって難しい。
強くならなきゃ!


次の日、恐れていた出血が始まり、塊も出てしまう。
99%流産だと宣告された。
100%と言わない所が先生の思いやりなんだろうか?


でも、なぜだろう。
正直、ホッとした。
心が疲れていた。
これで少し楽になれる。
早く手術を終わらせて、ゆっくり眠りたい。
春が来るまで熊みたいに冬眠したい。


手術の麻酔が効いてくる。
直前は、このまま私も赤ちゃんと一緒に死んでしまいたい。
もう目覚めなければいいのに・・・、
そんなことばかり考えていた。


今回は、染色体の検査をお願いしたかったけど、
出血が多すぎたので、できなかった。
私は、妊娠前は正常なプロラクチンの数値が、
妊娠後の極端に上がってしまう体質らしく、
次は、そこをしっかり治療しようと言われ、
まだ可能性はあるのだとホッとした。


この頃から、少しづつ、
赤ちゃんをあきらめる、
子供のいない人生とはどんなものなのかと考えたりした。


おいしい物を食べて、沢山旅行をして、
自分の為だけにたっぷりと時間を使う。
そんな人生も豊かだと思えた。


けど、そう思えた次の日には、
赤ちゃんが欲しくて、欲しくて気が狂いそうになる。
有り余る私の母性が、行き場を失ってしまう。
赤ちゃんの匂い、
仕草すべてがいとおしい。


自分と主人の子供は、一体どんな顔なの?
会いたい、
抱いてみたい。
生理があるうちは、絶対にあきらめきれない。
信じて祈って待とう。
#ブログ

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9.ある不育症患者さんの手記(1―2)

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9.ある不育症患者さんの手記(...
〜私たち夫婦には生まれてこられなかった
5人のあかちゃんがお空にいる〜


青木先生との出会いは、2度目の流産直後、
失意のどん底にいる時だった。

どの子を失った時も同じ様に辛かったけど、
思い返すと2度目の後が、一番辛かった様に思う。

こんなに辛いことが2度も続くなんて、
私は赤ちゃんを生めない体なんだろうか?
何がどうなっちゃってるの?
これからどうしたらいい?

次もまた、流産するのではないかという恐怖心が渦を巻く。
毎日泣いて、頭痛がする程、色んな事を考えて絶望した。

とにかく何もしないままでの、次の妊娠は怖い。
原因があるかもしれない。
でも、一体どんな病院にいったらいいんだろう?



Dr青木のコメント:

( この後、インターネットで、
当時の城西病院での私の不育症外来を受診されました。
身体的検査では、主にストレス由来とも考えられる
高プロラクチン血症と
高ナチュラルキラー(NK)細胞活性、
さらに、抗リン脂質抗体陽性が
次回妊娠における流産危険因子と考えられました。

これらの危険因子は最初の妊娠以前からあったのか、
偶然の流産により、
後から発生したものなのかは不明です。
しかし、
次回妊娠には悪影響を及ぼすと判断されます。

また、精神的には、相当に自分を追いつめている
感じでした。

治療法として、まず、
身体的危険因子の予防治療を行いました。 )



解禁になってすぐに、3人目の赤ちゃんがお腹にやって来た!

高温15〜16日目で調べる様、指示されていたけど、
毎日ドキドキして、落ち着かなくて、10日目でこっそり(?)調べる。
うっすら陽性。
緊張とドキドキがピークに。もう待てない。

妊娠が分かってしまったからには、平常心ではいられない。
早速入院準備。
とにかく、青木先生の側で絶対安静にしていたい。

赤ちゃんは先生がきっと守ってくれる。
やっと会える。

一度目の入院は不安より、期待で胸がいっぱいだった。



Dr青木のコメント:

( 入院して数週間後の超音波検査で、
胎のう(あかちゃんの入る袋)は見えましたが、
卵黄のう(あかちゃんの栄養タンク、仮腹)が見えてこず、
「枯死卵」 と診断しました。

それは、
偶然的な胎児の染色体異常による
流産の可能性が高いと考えられます
と、お話しました。 )



たまたま…だったとすれば
なんてついてないんだろう。
思い切り泣きたくて、直ぐに個室に移動させてもらう。
大声で泣いた。
多分、廊下にも聞こえていたと思う。

悔しくて 悔しくて、 どこにぶつければいいんだろう?
どう処理していけばいいんだろう?

心臓をかきむしりたい程、 苦しい。
頑張ったのに…どうして私ばかり…私の赤ちゃんばかり…。


病院に居るのが嫌で、主人と一旦自宅へ戻る。
辛いけど、次もまた、染色体異常の可能性は低いので、
悲観するのはやめよう。
そう話し合い、大嫌いなあの手術を受ける為、再び病院へ。

覚悟を決めて処置室の台へ上がる。
ナースステーションから、赤ちゃんの声が聞こえる。

また、
守り切れなかった私の赤ちゃん。
せっかく私のお腹を選んで、お空から降りてきてくれたのにごめんね。
こんな所で泣くのは恥ずかしい。

そう思い涙を止めようとしたけど、止まってくれない。
どんどんどんどん溢れ、嗚咽が漏れる。
我慢しようとすればするほど、涙がでて、号泣してしまった。
号泣しながら、麻酔がかけられ、意識が遠のいた。


やがて、手術が終わり、
台の上でてきぱきと動く先生や看護師さんをぼんやりと眺めながら、
かき出された赤ちゃんはどこへ行くんだろう?

誰か赤ちゃんに手を合わせてくれたのかな?
そんな事を考えていた。 
その日の夜は眠れなかった。

担当だった看護師さんが足浴をしてくれて、
色々話を聞いてくれて、大分落ち着く。
あの時は、ありがとう。

お腹は空っぽになった。悲しい退院。
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8.ある不育症患者さんの手記(1−1)

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8.ある不育症患者さんの手記(...
約30年間、
本当に多くの不育症患者さんを診させていただきました。
最初の頃は、患者さんのこころの状態には無関心で、
ひたすら、身体的、客観的な検査データのみを分析していました。
しかし、それはほんの半分であり、

「こころの苦痛」

が、
原因 と 治療 の 根本 に横たわっていることを、
多くの患者さんから、教えていただきました。


今では、不育症を治すというより、

「 こころ の 苦痛 からの 開放 」

を、少しでも手助けできればと、それが最終目標となっています。


私から見て、多くの印象深い患者さんの中から、
まずは、ひとりの患者さんの手記を、
編集して、ご紹介させていただきます。


この患者さんは、過去に、
妊娠初期に2回連続して流産されていました。
そこで、私の不育症外来を受診され、
不育症として、
まずは主な身体的検査をして、治療方針を立てて、
3回目の妊娠をされましたが、
治療の甲斐もなく流産されました。
4回目も、
5回目も、くりかえして流産されてしまいました。
6回目に、
やっと成功して、元気なあかちゃんを出産できたのです。
その間の、
こころの動きや葛藤が正直に記録されています。


タイトルは、
〜私たち夫婦には生まれてこられなかった
5人のあかちゃんがお空にいる〜
です。

(内容は次回より、ご紹介します。)
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7.エリザホール系のマウスの流産

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7.エリザホール系のマウスの流...
エリザホール系のメスマウスは、
同系のオスとの交配では流産しませんが、
異系のオスとの交配では流産するそうです。

異系かどうかはフェロモンで識別できるようです。

流産するメカニズムとして、
自分のプロラクチンをゼロにしてしまうそうです。

貞操観念(?)、純血主義(?)の強いマウスとも考えられますが、
プロラクチンをゼロにして流産させてしまうところが
非常に興味深いと思います。


人間の場合は、反対に、プロラクチンが高すぎて
流産してしまうからです。

プロラクチンは日本語で
「乳汁分泌ホルモン」 といいますが、
別名、愛情ホルモン、またはストレスホルモンとも言われています。


人間の場合は、

流産したくないのに、
愛情が強すぎて(!?)、
流産したくない気持ちが強すぎて(!?)、
そのために、プロラクチンが高くなりすぎて、
流産していると考えられます。
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6.不育症の認知行動療法とは

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6.不育症の認知行動療法とは
「認知行動療法」 とは、

ものの考え方とか受け取り方、あるいは行動パターンを
チェンジ、  CHANGE、  変化
させることによって、不安や抑うつといった不快な気分を
是正しようとする
心理療法のことです。


その基本は、
まず、
現実に目を向ける。現実直視です。
そのために、情報収集してください。
インターネット情報は大きな助けになっていると思います。
不育症治療の経験者からのブログも大いに参考になると思います。

次に、
だれかに話を聞いてもらってください。
それだけで、少しは気持ちが落ち着きます。
こちらに相談されてもいいですよ。

次には、
悪いことばかりではなく、良い面も探してください。
旦那さんはあなたを心配していませんか。
子供を生むためにだけに結婚したわけではなく、
愛し合って結婚したのですよね。
今、お二人とも元気ですよね。
焦らなければ、きっとうまくいきますよ。

ご夫婦で、散歩をしたり、おいしい食事を楽しんだり、
たまには旅行してみたり、何か気晴らしは絶対に必要です。
仕事に集中してみたり、動物を飼ってみたり、
少しでも多くの関心事を見つけてください。
人生は短いですから。

たとえ、たとえ、子供に恵まれなくても、
それはお二人で乗り越えて、
意味のある人生を、いっしょに最後まで送ってください。


「人生は何を成し遂げたというのではなく、
どのように真剣に過ごしたか」


ではないでしょうか。

尊敬するある精神科の先生が

「簡素で心豊かな生活」

をしたいと言っていました。
私も同感です。人生は競争でもありません。
そんなに急いでも、最後はいっしょですから。


不育症の治療に役立つ言葉があります。
それは、

「人生いろいろ」
「能天気」
「Let it be」
「Tomorrow is another day」

です。
#ブログ

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5.精神的原因とは

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5.精神的原因とは
「また、流産を繰り返すのではないか」
「もう妊娠すらできないのではないか」
と、どうしようもなく悲観的な思いにさいなまれていませんか。

そのような場合、
「全般性不安障害(いわゆる不安神経症)」
あるいは  
「抑うつ状態」
の可能性があります。

患者さんのなかでは、このような自分の心の問題にふたをして、
それははずかしいことのように感じている人がいます。

自分で何とか解決しようとするあまり、
その心理的ストレスが原因で流産を繰り返していたのではないか、
と考えられる患者さんがよくいらっしゃいます。


当院では、このような患者さんに対して、
「認知行動療法」  あるいは  「薬物療法」
を行っています。
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