カラタチバナ(唐橘) サクラソウ科(Primulaceae)
学名:Ardisia crispa (Thunb.) A. DC.
別名: ヒャクリョウ(百両)
自然分布;本州(茨木・新潟)~沖縄、台湾、中国
暖地の日陰・林床に生育、ほぼ直立で余り分枝せず高さ20cm~70cm。
樹皮は茶褐色。葉は互生し、長さ8~20cmの狭卵形~披針形。
先はとがり、ふちには不明瞭な波状の鋸歯がある。鋸歯の間に腺点がある。
表面は鮮緑色で光沢があり葉腋に直径7~8mmの白い花を散形状に10個ほどつける。
花序の柄は長さ4~7cmで斜上する。花冠は5深裂し、萼片はそり返る。
果実は核果で、直径6~7mmの球形。赤く熟す。
冬~春に実を持ち、晩春(初夏)に花を付ける。
大和市周辺では余り見かけない。
古い時代、「タチバナ」や「コウジ」は柑橘類の総称で用いらた。
区別するために「カラタチバナ」となったらしいが、よく分からない。
江戸時代に園芸的価値が高まって金を生む植物(金生樹)と云われた。
同属のヤブコウジは万葉集にも詠まれている。
「あしひきの 山橘の 色に出(い)でて わが恋ひなむを ひとめかたみすな」
源氏物語にも「ヤマタチバナ」の名で現れ。さらに、古今集にも2首ほどで詠われている。
古来は、ヤブコウジ、カラタチバナやマンリョウは明確に区別されておらなかったか??
和名は、楽しく、使われ方も面白い。
冬に赤い果実をつける千両、万両、百両!!
お正月に「千両、万両、有り通し」として金運に恵まれるという縁起物として飾りつけられる。
千両は、センリョウ科センリョウ属のセンリョウ、
万両はヤブコウジ科ヤブコウジ属のマンリョウ、
有り通しは、アカネ科アリドオシ属のアリドオシ(蟻通し)のこと。
アリドオシには一両の別名もある。
ヤブコウジを十両、カラタチバナを百両として、縁起物とされた。
「難を転じる」という意味合いからナンテン(メギ科)も同じように使用されてきた。
江戸期に園芸が盛んであった証だろうが、愉しい。
これ等の熟した果実は生食でき、また、果実酒にもする。
何を以って万両・千両・百両・十両・一両とランクを付けたか・・・興味深い。
5月08日誌「大和市泉の森5/04」