遠距離介護
6月
19日
気ままに独り暮らしをしたいと健康には人一倍気を付けていた義母ですが、どうも知らないうちに大きな脳梗塞を発症していたことが認知症の原因とわかりました。運動機能には一切影響がなかったので、本人も私たちも気が付きませんでした。
もう独り暮らしは無理かもしれない。
信州で一緒に暮らそう。
そう考えながら主治医に相談すると、
「環境を変えるのは症状が悪化するでしょう。お勧めしませんね。」とのこと。
でも、何かあっても高速で片道3時間半。
私たちが仕事を辞めてしまったら、生活ができなくなってしまうし。
そんなとき、夫が上野千鶴子さん(東京大学名誉教授)の講演で聞いた「介護の方針は、本人の意思よりも介護する人の都合で決まってしまう。」を思い出し、こう言いました。
「今の暮らしに満足していた母の意思を尊重したい。」
どうやったら、安全に今の暮らしを続けることができるのか。
私の不安も率直に彼に伝え、たくさん話し合いました。
そして、週に一度の訪問介護をお願いしつつ、2週間に一度、彼と私が順番に訪ねることにして、遠距離介護がはじまったのです。
認知症 = 一人では何もできなくなる。
そんな思い込みがありました。
でも、義母は手の込んだ料理以外は、掃除も洗濯もこれまでどおりできています。買い物ができるので、食べるものには困っていません。
冷蔵庫の中の管理は難しいようなので、古い食材は処分したり、持ち帰って私たちがいただいたり。肉食系女子は、ステーキ肉がいくつも買ってあることも。庭も手入れされ、春から秋には、美しい花が次々と咲いています。
初診から一年経った精密検査では、予想に反して進行が見られず、主治医は「いい調子ですね!」と驚いていました。
コロナになってからは、リスクを下げるために東京に行くのは彼だけになりました。私は行かなくなった分、朝早く起きて二人分のお弁当を作ることにしました。
結婚したころ、私は料理がほとんどできなくて、一緒に暮らす義母から手取り足取り教わりました。
最近は料理の手順を忘れて、煮物などはできなくなった義母。
義母の好きなもの、食べたいものを想いながら準備します。
どこまでこの状態が続けられるかわからないし、不安がなくなったわけではないけれど、その穏やかな暮らしぶりに、義母の思いを尊重できてよかったと、私たちも穏やかな気持ちで暮らせています。
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