ハーバード大学名誉教授で村上春樹著作の翻訳家である ジェイさんのトークショーがあると聞いて出かけて行きました。 親日家でもあるジェイさんの処女小説 「The Son God」の記念出版に合わせたもの。 第二次大戦時の日系人強制収容所を舞台にした感動の物語とのことで 関心がありました。 会場がシアトルの旧宇和島屋、現在は和みティーハウスとなっている所。 1時間ほどの氏のトークショウのあと、質疑応答の時間。 私の前列に座られた高齢の女性はご自身がシアトルからの強制収容所送りとなった経験のお持ちの方で、 小説にある描写が正確に当時の日系人の心情や状況を映し出していると感心されたコメント。 日本から取材旅行中の若手作家まさきさんは、 昨今の日本の国論を二分してる安倍政権による安保関連法案や憲法改正論議について、米国人としての見解を質問。 まさきさんの紹介 http://web.hirokawamasaki.com 私も2点ほど質問させていただきました。 ①日米開戦に至った過程に当時の米国政権の思惑が働いていたことについて。日系人強制収容の大統領令を発令したルーズベルトは、 敢えて日本に先制攻撃を許し、国論を味方につけたうえで日米開戦、 欧州参戦への道を開いた点。 これは彼が大統領選挙3選を果たす際に公約として掲げた不戦の誓いを覆すための戦略であり、 日本はハルノートを突き付けられて、やむを得ずに「窮鼠猫を噛む」窮状からの自衛のための開戦であった点をどう評価するか。 マッカーサー元帥は1951年、米国上院の軍事外交委員会で日本からの先制攻撃は「自衛のためにそうせざるを得なかったものである」と証言しているが、、、? ②1942年2月19日の大統領令に抵抗し、戒厳令にも収容命令にも逆らった数人の日系人とその他大勢の命令に服した日系人について。 憲法と法律に逆らう大統領令に抗った数人は逮捕・収監・敗訴して刑に服したが、それはほんの例外。 大多数の人々は時代の趨勢に抗えずに無抵抗のまま収容所に収監された背景にはどのような力学が働いていたと思うか。 かなり難しいことを聞いてしまったと反省していますが、 トークショーは絶えず和やかな雰囲気のまま進んで行きました。 ショーの後にフィンガーフードをつまみながら、 氏をはじめその関係者の皆様とも意見交換できたことは幸いでした。 氏の隣にいた日本人らしき女性、言葉を交わす機会を逸してしまいましたが、 もしかしたら奥様でいらっしゃたのかもしれません。