この日も、 ポートランドのダウンタウンを駆けずり回っていた。 日本の準決勝の対イングランド戦が気になる。 もちろん、ワールドカップ女子サッカーのこと。 何とか仕事に区切りをつけて TVにありつきたい。 周囲を見渡すと寿司屋が目に入る。 ガラス越しに店内と物色するとTVモニターがあった。 その目の前の席に陣取った時、 試合はすでに84分経過で1-1の同点。 試合はほぼ完全のイングランドペース。 防戦一方のなでしこ。 ついに90分の試合時間を消化し ロスタイムに入っていた。 川澄選手のクロスボールを アウトサイドキックでクリアしようとしたイングランド、6番の選手。 それがオウンゴール。 直後に試合終了でなでしこの勝利。 嬉しいが、 オウンゴールをしでかしてしまった先の選手が泣き崩れている。 他の選手や監督が肩を支えるが 顔を上げられない。 気の毒という陳腐な言い方では十分でない。 彼女の悲痛さは経験したものでないと分からないだろう。 分からないはずなのに なぜか涙が止まらなかった。 彼女がかわいそうというものとともに 美しさのようなものを感じた。