日系レストランに置いてあるフリーペーパー数冊を必ず目を通すことにしている。 「ジャピオン」だったろうか、マンハッタンのタクシー事情が特集されていた。 移民ドライバーが最近急増していて、 米国生まれのドライバーはわずかであるそうな。 統計を取った数十年前は白人ドライバーが65パーセントを占めていたが 今日ではそれがなんと6パーセント。 イエローキャブ(タクシー車体の名前)レンタル代を払ってから儲けを生み出すには 12時間ほど働かねばならないほどの苦しい事情があるらしい。 移民別に見ればバングラデシュが最大で、 確か32パーセントを占めるようなことも紹介されてあった。 次がパキスタンだそうだ。 確かにアジア系のドライバーを多く目にする。 マンハッタンからハドソン川を渡り、 ロングアイランド市に行くにもタクシーを利用した。 行き先をドライバーに告げても何の応答もない。 浅黒いアジア系の顔つきは確かに南アジアからの移民とお見受けする。 私のジャパニーズアクセントの英語が伝わったのか不安になり、 地名や方角を説明しながら応答を待った。 それでも応答がない。 彼の個性なのか、民族性なのか、それとも何なのか? 不安の消えない私は遂に Did you get that? (分かったのですか?) と聞いて見た。 相変わらず言葉による返事はないが、 首を縦にわずかに振ったのがミラー越しに見えた。 英語圏で育った人にはそんな無愛想な接客はないだろうなあ、 これもお国の文化かなあ、 なんてことを考える。 支払いは、座席に備え付けてあるモニターに指でタッチ操作してのクレジットカード払いにする。 無愛想なそのサービスにチップなんて払うこともないよなあ、 そんなことを思いながらモニター操作を始めた。 ところがモニターには、 チップ20パーセント、25パーセント、30パーセントの選択肢が3つあるだけで それ以外の選択肢がなく、 プロセスが進んでいかない。 よく出来ているものだ。 チップは顧客の自主判断が原則であるはずなのに、強制高率徴収とは(^_^) そんなシステムだからサービスに努力しようともしないのでは?! なんて事も勘ぐりたくもなる。 その直後、そのタクシー事情をフリーペーパーで知って 「もっとチップを弾んでも良かったじゃん」 「メトロを使わずにもっとイエローキャブを使っても良かったじゃん」 なんて後悔も感じることになった。