説得力の背後にあるもの
2月
6日
帰蝶さまのセリフがめっちゃ説得力あったなぁ。
道三様であればどうするか。
そう光秀に問われて、
父に代わって答えよう、っていうあのシーン。
自分が父上であれば、信長様に毒を盛る。
そう答えたあのシーン。
そんな父上の答えを、
あなた自身はどう思うのかと問われ、
「私はそう答える父上が大っ嫌いじゃ」と答えるあのシーン。
あれ、実際に、
道三が帰蝶の夫を毒殺した過去があるからこそ、
あの怪演を視聴者が見ているからこそ、
そしてそんな父親に反発した帰蝶を見ているからこそ、
めっちゃ説得力があるんだよね。
あのシーンなしに、
ただナレーターが淡々と、
「道三は、帰蝶の夫である土岐頼純を毒殺し、
帰蝶に信長に嫁ぐよう命じました。
帰蝶はそれに強く反発しましたが、
光秀の勧めもあり、信長に嫁ぐことにしました」ってだけ語って、
すぐに信長への輿入れシーンに突入してたら、
今回のシーンの説得力は、塵のように消え去っていたと思う。
そういうことなんだよね、説得力って。
いやあ、ドラマでは描けなかったけどさ、
実は帰蝶が信長に輿入れした背景にはさぁ、
いろんなことがあったんだよねぇ。
道三が頼純にお茶を差し出して、
その中に毒が入っててさぁ。
それを知った帰蝶が激怒して大変だったの。
そういう裏設定があるから、今回のこのセリフがあるんだよ。
どう?すごいでしょ!?
って言われたって、「あ、そう」で終わりです。
どんなに緻密な裏設定があろうとも、
それを見せなければ、意味がない。
「ねえ、小説読んだ?帰蝶があのセリフを言った背景には、
こんな過去があったんだって!すっごいよね!?」とか言われたって、
「帰蝶があのセリフを言った理由、
小説を読めばわかるよ!」なんて言われたって、
「はい?」って話なんだよな。
映画と大河じゃ時間枠が全然違うから、
映画を媒体にした「天気の子」では、
描けるものに限りがあったとは思うけど。
だとすればなおのこと、
細かい枝葉なんて斬り捨てて、
本筋に力を注ぐべきだった。
私はそう思います。
設定に裏打ちされた説得力
2月
6日
「天気の子」、何やらいろんな細かい
裏設定があるようだけど。
裏設定ってさ、
作中では少ししか描けなかったけど、
実はこんな細かくて深い設定があるんだよっ!すごいでしょ!?
……って言うためのものではないと思うんだ。
まあ、作者しか知らない設定を、
読者や視聴者に言いたくなる気持ちはよくわかるんだけどさ。
でも、裏設定って、
そのためにあるわけじゃないと思う。
物語の舞台や登場人物の
骨格や肉付きを決めるための設計図。
その世界が、その人物が、
リアリティを持って息づくための、
細かなプロフィール。
それが、裏設定じゃないの?
その設定が実際の物語の中で、
どの程度反映されるかは、
諸事情により異なるだろうけど。
でも、作中に「裏設定のヒント」を散りばめて、
「どう?君は見つけられた?」、「ね?すごいでしょ!?」って
言うためのものじゃないと思うし、
それを見つけて喜んでるファンの心理も
あんまり理解できない。
……いや、かくいう私も、
神木くんの声に気づいたときは、
ちょっとした「発見!」って感じで
嬉しかったけどさ。
あ~、なんか「君の名は。」のキャラデザと
めっちゃ似たキャラ出て来たな、
あれ?声、神木くんじゃね?ってなって、
ネットで調べたら「似たキャラ」じゃなくて
同じキャラだった(笑)
確かに表札、「立花」だったね(笑)
三葉も出てると知って探したら、
確かにいたし(笑)
あと、何やら四葉もさやちんもてっしーも
いたとかいないとか(笑)
なんつーか、
そういう細かい枝葉部分に力を注ぐんじゃなくて、
もっと本筋に力を注いでほしかった。
ってか、そういう枝葉部分は、
本筋をしっかり描いた上で、
余力で行う「お遊び」としてやってほしかった。
世界観に、人物像に、キャラの言動に、
説得力を持たせるためにあるはずの設定が全部、
中途半端なお飾りになってしまっている。
作中では描かれていない裏設定を読み解くための
ヒントに成り下がっている。
だから、全く説得力を感じない。
だから、全く中身がないように感じる。
どんなに緻密に練られた裏設定だって、
それが物語の説得力を高めるのに
寄与していないとすれば、
リアリティを高めるのに
寄与していないとすれば、
それはないのと同じなんじゃないかな。
映画という限られた時間枠の中で、
そんな細かい「裏設定のヒント」、
描く必要ありますか?
それよりももっと、
描かなければいけないこと、
いっぱいあった気がするんだけど。
素材が良いだけに、
映像がすっごく綺麗なだけに、
なんかめっちゃもったいないんだよなぁ。
新海監督、
あなたにできることは
まだいっぱいあったと思います。
謎と必然性のバランス2
2月
6日
そういう意味ではさ。
大河「麒麟がくる」は大成功だと思うのよ。
「光秀はなぜ本能寺の変を起こしたのか」という
歴史上の大きな謎を、
丁寧に描き切ろうとしているわけだから。
宴の席での信長による
公開パワハラは有名だけどさ。
でも、この物語ではずっと、
「信長様であれば、麒麟を連れて来れるかもしれぬ」って
流れで来てたわけじゃない。
それが、いったいどこから
二人の歯車が噛み合わなくなってしまうのか。
いったいどうして、
長谷川光秀が染谷信長を殺すに至るのか。
その過程を追うのが、
すごくおもしろいんだよね。
途中、オリキャラ出過ぎで批判もあったけど、
オリキャラのパートを飛ばして見てた視聴者もいるけど、
それでも見放さずについてきた人、
けっこういるわけじゃない?
それってやっぱり、この世紀の謎を、
この作品ではどう描くのかを、
見届けたいからだと思うんだよね。
だから、「謎」を謎のままにして物語を展開し、
最後まで視聴者を惹きつけることは、
すごく重要なことだけど。
それをするためには、
起承転結の「起」から「転」に至る過程、
つまりは「承」を丁寧に描く必要があるんだよね。
それなしに、矢継ぎ早に
「転」と「結」をやられても、
わからんのだよ。
大げさな例を挙げるとすれば。
信長との初対面時に、
「信長様ならば、麒麟を連れて来れるかもしれぬ」って言って、
その日の夜に、「膳が違うっ!!」と公開パワハラを受けて、
翌日に本能寺の変を起こして、その次の日に秀吉に敵討ちされる、
そんな、「3日天下」ならぬ、
「3日物語」みたいな状態じゃあ、わけわからん、って話です。
感動も何もないだろ、って話です。
どうして、信長ならば麒麟を連れて来れるかもしれないと、
思うに至ったのか。
そして、そう思ったにも関わらず、
信長も光秀を重用していたにも関わらず、
どうして二人の間に溝ができたのか。
そしてそれがどう、
本能寺の変に発展していくのか。
そこら辺を描かないと、
視聴者は置いてけぼりを食らうわけです。
そして、それを丁寧に描いているからこそ、
少しずつ、少しずつ謎が解明されていくからこそ、
微妙な心情の変化がわかってくるからこそ、
最後まで見たいと思うんです。
それなのに、貴重なパーツを
うまくつなぎ合わせようとしないどころか、
単なる「雰囲気作りのための小道具」として
かき集めて使い捨てにしてたんじゃあ、
「雰囲気だけで内容の薄いミュージックビデオ」と
酷評されても仕方ないと思う。
謎と必然性のバランス
2月
6日
全体的に意味不明だった。
中盤あたりは、ストーリーの勢いや映像美に引き込まれて、
序盤の疑問や違和感が帳消しになりかけたけど、
またすぐに置いてけぼり感を味わうことになった(笑)
「は?」、「なんで?」、「いやいや……」、
「ダメだろっ!!」、「わけわかんない……」
何度もそんなツッコミを入れながら見ていました(笑)
最後まで見れば疑問や違和感がなくなるとは、
これっぽっちも思ってなかったけど、
まさかここまで、見れば見るほど、
疑問や違和感が積み重なっていくとは思わなかった(笑)
この作品、ぶっちゃけ必然性が薄いのよ。
理由付けが薄い。
薄いというか、もはやない。
なんで、陽菜が「天気の子」になったの?
もう一度、母親と一緒に青空の下を歩きたかった。
そう願えば、誰でも天気の子になれるんですか(笑)
あの廃ビルの屋上にある神社はいったい何なのか。
その説明も一切ないし。
なんで帆高が拳銃を拾い、
それを持ち歩くことになったのか、
その経緯の説明もないし。
別に、言葉でいちいち説明してほしいわけじゃなくて、
それとなく描写してくれればそれでいいけど、
それをところどころに散りばめてくれれば
それでいいけど、
それが全くないんだもの。
ほんの一瞬、「え?なんでこんなもの入っているんだ?」みたいな描写をして、
それで終わり。
「おもちゃだと思ってた」というセリフはあるけど、
だからって、ずっと拳銃を持ち歩くか?
本物だと知った後も、
何食わぬ顔で平然と持ち歩くのも理解できない。
持っていることに罪悪感を覚えるでもなければ、
護身用として持ち歩いていることを伺わせる描写があるわけでもない。
ただ、ピンチの時にいきなり取り出して、
震える手でかまえて、そんで発砲して、警官に追われる。
ただ、それだけ。
他にも疑問点はいっぱいある。
なんで、陽菜が「人柱」なんてものになってしまったのか。
この作品で言うところの「人柱」とは、「巫女」とは、いったい何なのか。
彼女が贄となることで、ならないことで、
何が起きるのか。
いったい何がどうなって、天気に変化が現れるのか。
その辺が全く描写されていない。
頼むから、お得意の「小説読めばわかるよ!」は辞めてほしい。
読者や視聴者を物語に引き込む誘因として、
「謎」はものすごく重要だけど、
次々と新たな謎を作り出して、
その答えもヒントも明示することなく、
「雰囲気でわかるでしょ?わからなかったら小説でも読んで」と
言わんばかりのストーリー展開は、違うと思う……。
……。
なんか、朝はめっちゃ天気よかったのに、
急に天気が荒れてきた……。
そんな時に何だけど、
「天気」、「雨」、「巫女」、「人柱」というワードで
思い出すのがこの曲なのだ。
君の名は。
10月
22日
見終わった直後に、また最初から見たくなる。
最初のうちは、「これ、めちゃめちゃタカマガハラや!!(笑)」って思って見てた。
タカマ那智と中ツ那智の入れ替わり話書こうかって思うくらいに。
でもこれ、「胡蝶の夢」要素だけじゃないんだね。
いろんな懐かしさと斬新さが詰まってる。
途中からはもう、ハラハラドキドキ。
いろんな意味で圧倒されてた。
美しすぎて、見過ごしてしまった可能性。
まさか、そんなっていう衝撃。
そして、その言葉がここで生きてくるかっていう驚きと感動。
ああ、マジでもう一回見たい。
スペシャルドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」
9月
23日
・花音ちゃんの、泣くのをこらえて笑顔を浮かべる表情がいい!
・「かくれんぼ」の唐突さを軽減するためか、「かくれんぼ」というキーワードを序盤からちょこちょこ入れてたのがよかった。(「みんなに見つけてもらいたい」とか、「じんたんに見つけてもらえてよかった」とか、そういう描写がすごくよかった)
・省かれるだろうと思っていた弟、さーくん健在♪身長絡みのセリフに泣きそうになった。もっと掘り下げてくれればなおよし。
・めんまがじんたんにも見えなくなった瞬間の描写がよかった。アニメじゃ、いきなりすぎて、「は?」って感じだったから。
・つるこが良い子ちゃん過ぎて興冷め。なんで、あなるVSつるこを省いた。。。そこを見たかったのに。
・正直、最後は泣けなかった。上記の省略されたシーンが気になって、気になって……。順番入れ替えただけかと思いきや、まさかのバッサリ。いや、そこは大事だから。。。
・せっかく、序盤から「かくれんぼ」ってキーワードを出してたのに、ラストが唐突。花火打ち上げ後のぶつかり合いを描かないから、なんで成仏しなかったのかとか、なんで最後はみんなに見えたのかとか、想像すらできなくなってる。はっきり言って、消化不良。
・「花火の打ち上げ」及び「めんまの成仏」に対して、それぞれが抱く複雑な気持ちをもっと表現してほしかった。アニメみたいに、それぞれの「心の声」をいちいち聞かせるのは、実写だとうっとうしいから、それをやらなかったこと自体は賛成。でも、何か別の手法で表現してほしかった。花火の準備(作成)シーンでもっと尺とって、それぞれの心境を描くとか。
・全体的に、特に前半が、展開が少し早かった。この作品初見の人、ついて来れたのかなぁ。かといえ、連ドラだと尺が余りすぎるから、もう30分~1時間ほど拡大した枠で見たかった。あるいは、二夜連続とか。
・音楽の流し方だとか、カメラワークだとか、「この演出いいな」って思える場面がいくつもあった。その分余計に、つるこの扱いに不満が募る。。。なんでそんなに良い子ちゃんにしたかったの?一人だけ偽善者感がハンパない。。。
・パッチン、なんであんなデザインになったwwwもっと可愛いもの、たくさんあるだろうに。
・「めんまの日記」が「超平和バスターズの交換日記」になってたのは、おもしろくていいと思う。
・めんま、黒髪にして正解ですね。ぶっちゃけ、クォーター設定に触れてる余裕が微塵もないwww
・上地くん、いい味出してた。でも、みんなのカンパで目標額達成できたなら、もうバイトせんでもいいのでは?その分の尺を別に使ってほしかった。
・ラストのお父さんがあだ名を呼びまくるとこ、個人的に好き。アニメでは、「疎遠になった元仲間たちが他人行儀に名字で呼び合う」→「いつの間にかあだ名で呼び合ってる」ってのがあるけど、ドラマではなくて、ちょっと物足りなかった。でもその分、ラストでちゃんと締めてた感じ。
・いや、でも、ラストでゆきあつ×つるこは描かなくていいよ?それ描くんなら、その前にもっと、つるこ→ゆきあつの描写を入れなさいっ!!
・「なんだかんだで仲良さそうな似た者同士」=ゆきあつとあなる の描き方は、まあ、いいと思う。でも、それなら、ふたりの「策略(?)」もちゃんと描こうよ。そうすりゃあ、つるこさんも少しはドロドロしたもの、表現できたのに。
・時間の都合やその他諸々の関係で、つるこのトラウマをあのように書き換える必要があるのなら、いっそ、あなるVSつるこを予感させるシーンもカットしちゃえばよかったのに。
・きっと、予感させるシーンだけがあって、「本番」を描かないから、拍子抜けしたんだと思う。つるこのトラウマを「どうして止められなかったのか」にしたのなら、そこをもっと掘り下げればよかったのに。あのままだと、ほんと単なる良い子ちゃん。ってか、偽善者。
……とまあ、こんな感じでしょうか(笑)
思い出したら随時、付け足すかもしれない。
最初だけべた褒めのくせに、途中からずっと手厳しいというね(笑)
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
6月
28日
ようやく、劇場版&アニメ版を見ました。
劇場版は、アニメ版の総集編+αって感じですね。
アニメ版を見て思ったこと。サブキャラ達がものすごく切ないよぅ。。。
メインのふたりよりも、サブキャラたちに感情移入して見てました。
こういう、登場人物すべてにそれぞれの魅力が詰まってる作品、大好きです。
逆に、脇がお粗末で、メインに感情移入できなきゃアウト!!って感じのお涙ちょうだいものは苦手です。
ええと、話を元に戻して……。
見る前は、ヒロインの亡霊が、主人公にしか見えないっていう設定、知らなかったんですよ。
だから余計に、その設定ゆえに起こるいろんな葛藤に引き込まれました。
人間模様というか、心理描写っていうか。
なんか、すごくおもしろくて。
うわぁって胸に迫るものがありました。
なんとなく、「北のカナリアたち」や「十年後の卒業文集」に似てるなぁって思った。
ある事故がきっかけで、心に傷を負い、疎遠になってしまった子どもたちって設定とか、
その数年後に、それぞれが当時の思いを吐露していく過程とか。
すごく、おもしろかったです。
トリック劇場版ラストステージ
1月
27日
全体として、ものすごくおもしろかった!!
ラストでようやく、「ああ、そうか!だから月光が主題歌なんだ!!」って思った。
ラストの上田の表情がもう、何とも言えず、うるうるうるうる(ノд<。)゜。
呪術師としての最期の役目……。
めちゃめちゃ、タカマを彷彿とさせるでないかいっ!!
すごく、すごくよかった!!
思い出のマーニー
8月
10日
ジブリ作品独特のドキドキ感、わくわく感は一切期待してませんでした。
だって、それを脱却しようとして作った作品だと思うし、
それを期待したら後悔する、というレビューを目にしていたから。
だから、そういう“ジブリらしさ”ではなくて。
少女の心の内面を、その変化を、繊細に描いた作品だと紹介されていたから。
そこを期待して見に行ったのに。
見事裏切られました。よかったのは、映像がすごく綺麗だったことだけ。
夜の入り江、めちゃめちゃ綺麗でした。
なんていうか。アンナの心の葛藤がなさすぎる。
サイロのシーンが薄すぎる。
そこ、重要でしょ!?もっと盛り上げようよっ!!って言いたくなる。
あと、「和彦」の扱いが雑。「和彦」に対するアンナの思いも雑。
なんで、マーニーが自分を和彦と勘違いすることにもっと戸惑いと苛立ちを覚えないのかがわからない。
マーニーの、「だってあのとき、あなたはいなかったもの」のセリフが生かしきれてない。
アンナがなぜマーニーを許せるのかがわからない。
マーニーと和彦が結ばれる過程も意味不明。
もっと、もっと、描いてほしかった。
もっと、もっと、“みせて”ほしかった。
描き方次第で、みせかた次第で、絶対にもっとおもしろくなる。
そんな作品。