5月
31日,
2021年
お気に入りの論語成句(2)「下問に恥じず」
昨日に続いて今日も私の、お気に入りの論語成句のご紹介です。
今日の成句は
「下問(かもん)に恥じず」
です。
下問とは、目下の者に質問すること。つまりこの成句は文字通り「目下の者に質問することを恥じない」という意味です。
え? 分からないことや知らないことは、部下でも誰でも訊けばいいんじゃない?
そうお考えの上司の皆さんには、この成句は当たり前のこと。
しかし、実際はなかなか、こうは行かないものなんです。
ところで、会社や組織ではなぜ、昇進させたり昇格させたりするのか?
その理由は、ある人が仕事での成果が認められ、更には部下の管理や新たな目標を達成してもらうために、もう一段上のレベルの職務を与えるため。
平たく言うと、
「仕事が出来るから」です。
しかし、ここにパラドックスがある。
経営層が管理職を含めた社員に、こう訓示を垂れます。
「この変化の激しい市場環境に追随していくためには、これまでの慣習や古い考え方に囚われることなく、新たな発想や方法を自ら考案し、チャレンジすることが求められる。そのためには、これまでの成功体験をまずは捨て、イノベーションの視点を持って業務に当たるべし!」
おっしゃる通り、ですね!
しかし現実を見てみると、組織内のチームを率いるリーダーは、過去の成果・業績が評価されてその職務に就く。
そうです、言っていることと、やっていることに矛盾があるのです。
残念ながら簡単には解決できない現実がありますが、まずはこの点を再認識して頂いた上で、今日の論語成句へ戻りましょう。
「下問を恥じず」
部下を管理・指導するという役割を与えられている上司ではありますが「学び、成長していくことを目指す」という点においては、何ら部下と変わりがない。従って知らないことを恥ずかしがらずに素直に「教えて欲しい」と頭を下げる。部下も、知ったかぶりをする上司よりは、学ぶ姿勢を持ち続ける上司の方を尊敬するはずです。
一方、部下の視点に立つと、この姿勢は上司の関心事や課題感を垣間見る機会にもなります。また上司からの質問に答えることで、自尊心や仕事に対する自信が醸成されます。これは与えられた仕事を自らの課題と捉える、つまり「自分事」化させることに繋がり、仕事に自発的に取り組むマインドを促進すると考えられます。
部下に質問することは、ポジティブな面はあっても、ネガティブな面は無いように、私は感じます。
私がもし孔子先生だったら、甚だ不遜ですが、こう言うかも知れません。
「下問の勧め」
ではまた明日!
by ステップ・バイ・ステップ