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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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朝バッチ

スレッド
僕は
輝きバッチが欲しく
夢の不思議を
追いかけ転べば
目が覚めて
なんだか朝から
ふにゃらかな刺激に
止まらない笑い

蹴飛ばされた布団は
綿が散らばり
自由を知ってしまう
太陽光線を撫でながら
もくもくもくと
幸せ雲になっている

言葉にはできない
窓の外の
青い気持ちを
まだ夢に浮かぶ君へ
伝えたいけど
輝きバッチを追って
夢中になっているから
玄関を開けながら
返事のない
「行ってきます」

もうじき
目が覚めるだろう
君の微笑むロマンと共に
今日も間違いない
胸にはキラキラ輝く
朝バッチをこの世界で

#詩

ワオ!と言っているユーザー

オジサン子ども

スレッド
私は三歳。ひとは私のことを天才児だと言うが、
前世の知能がそのまま残されて生まれた人間と
いう特殊な誕生をした。その前世でどのような
生涯を得たかは全く分からない。頭の中だけが
オジサン。そう、私はオジサン子ども。客観的
に考察すると、まあ五十歳くらいの精神年齢で
あろう。知能はさほど高くないが、なんせ身体
が三歳なのだから世間は私を天才と騒ぐわけだ。
最近では雑誌、テレビ局やユーチューバー達が
毎日のように私を目当てにやって来る。玄関先
で彼らは母親に出演の交渉をするが、私はまだ
呂律の回らない口で「勝手に私の映像や記事を
流すなよ。きちんと契約を取れた相手だけゲス
トとして質問に答える。ああ、ダメダメ、そこ
の君、録画はダメだよ」と、言った感じで彼ら
の視線の下から話し出す。私の喋りに気持ち悪
がって帰ってしまう者もいるくらいだ。母親は
若く、まだまだ社会経験が少なく騙されやすく
心配の元だ。父親? ああ、そりゃ酷いものだ。
私が再教育したいくらい浅はかな思考の持ち主
で、仕事はろくにしないし、どこからか見つけ
てきた日付の切れた添加物の多い弁当を、三歳
の私に食べさせようとしたり、時には夕ご飯が
抜きとか、一家をきちんと養っていない、どう
しようもない父親だ。まあ、こんな家族に生ま
れて来たら、私がしっかりしなくてはならない、
となる。三歳にして一家を何とかしなければい
けないというのが現状だ。そんな私は最近、キ
ショい子どもなんて言われる。この状況での私
の気持ちなどわかる者などいない。近い将来、
もう少し身体が発達し、パソコンのキーボード
が自由に打てるようになれば、自分の特殊な存
在を生かし、自から世界にジャンジャン配信し、
ユーチューバーとしてこの家族を裕福にするこ
とができるだろう、そう考えている。これが今
の私の夢だ。夢ってほど大したことじゃないな、
目標ということにしておこう。もしかして私は
前世で家族を幸せにできなかった後悔とか持っ
ていたのだろうか。まあ、分からないことは考
えても仕方ない。人生は一度きり、いや二度目
か、そんなわけで楽しんでオジサン子どもして
みるよ。私の身体が大人になれば普通のオジサ
ンになる。それまでの勝負だな。

#詩

ワオ!と言っているユーザー

夏の白

スレッド
「まさか」の
鋭利たちが刺さり
夏の肺は
黒い空を白く
身近に死を浮かせ
家族の過去と
未来に今を
詰まらせていく

軽症の私は
先に隔離解除され
玄関の向こうで
足枷が照り返しの
風に解かれ
苦い汗が滴れる

まだ高熱が続き
酸素を欲している家族
この雲が
どうか消えますようにと
祈り見上げている




(家族たちは通常に戻りつつあります。お世話になった医療従事者に深く感謝いたします)
#詩

ワオ!と言っているユーザー

背後占い『字念屋』「咲」

スレッド
ごきげんよう
お入りになって涼んでください
冷たいお茶をお持ちしますね
どうぞお座りになってください

そうでしたか
学校で守衛さんを
もう醸し出す雰囲気から
生徒さんたちに好かれている様子が
想像できますね

それではあなたの背後にある
中核文字を見ていきましょう
リラックスしてください

はい見えました
花が咲くの「咲」の文字です
もともと「咲」の文字は
笑う「笑」の古字でありまして
「山が笑う」と言いまして
春に芽吹き山が華やかになる様子
山に花が咲くように微笑んでいる
そんなひとの心を和ます
素敵な中核文字をあなたはお持ちです

そうですよ
あなたが明るく笑顔で挨拶をされるので
生徒さんたちはハッピーな気分で
登下校されていることでしょう
そして「咲」の念字をみなさんに
そっとお配りして
前向きな気分にさせてしまう
愛しき中核文字です

ただご自身を咲かせるということは
土や光、そしてお水が必要です
これらのエネルギーの源を
しっかりと供給しなければなりません
ご自身の身体を労ることが大事になります
栄養のバランスをとり適度な運動を
心掛けて生活することをお勧めします

そうですか
以前は山に登られていたのですね
それでしたら心がリフレッシュするような
コースで楽しまれてください
あなたのパワースポットである山から
「咲」のエネルギーがもっと得られます
そしてもっと大きく咲いた笑顔をお裾分け
生徒さんからの微笑み返しにほっこりです

世代ですね
キャンデーズの「微笑がえし」
私もよく歌い踊っていましたよ

そうですか
これから夜の見廻りがあるのですね
ご苦労様です
では今日の占いはこの辺にしておきましょう

そのあなたの笑顔
ほんとうに癒されます

そうですね
本日はご来店いただき
誠にありがとうございました
お気を付けてご出勤くださいませ

#背後占い字念屋の詩 #詩

ワオ!と言っているユーザー

リカバリー

スレッド
夕暮れ時の公園で呟く
どうかわたしが
元気でありますように

紙くずがカサカサと
風に身を引きずられて
踊りたくないのに
踊っている

今は我慢とか頑張りとかを
遠ざけたくて

ベンチに背を丸め座り
黄昏れ空なんか見て
浮き沈み物語は
始まっては消えてゆく

ボールが見えなくなると
賑やかな子どもたちは
わたしに贅沢な時をくれる

もう誰もいない公園
どうかわたしが
元気でありますように

ひとり佇む寂しさに冷され
気持ちがリセットする

ガッシャンと
自転車のスタンドは響き渡り
電灯の照らしが身体を包み込む
優しいお疲れさん

明日も
どうかわたしが
元気でありますように

隙間のできた心で
強くペダルを踏み込めば
風が心地よく
わたしは微笑んでいる

#詩

ワオ!と言っているユーザー

車窓

スレッド
疲れは揺らされ
そっと我に帰る時
懐かしさへ入り込む

いつかの
切なくて涙を流した
いつかの
悔しくて拳を握った
いつかの
楽しくて腹を抱えた
いつかの
嬉しくて叫んでいた

想い出たちが
暮れては頬を染め

遠くほど
ゆっくり流れる景色
足元を高速で流れる枕木
弧を描く風
意味ある重ねは
窓の向こう
景色と溶け込んで

ひとりの揺れが
胸の詰まりを
息から吐き出させて
曇らせるガラスは
疲れを消す

今日も同じ心へ
帰る幸せに
ありがとうが洩れる

#詩

ワオ!と言っているユーザー

ステイホーム

スレッド
部屋の中
春の風が嘆いている

グオオ
グオオ
グオオー

きっと俺のいる
部屋なんかには
来たくなかったのだ

そして風は死ぬ

また
次の風がやって来る
窓の隙間を使い
声を出すのさ

グオオ
グオオ
グオオー

俺みたいに
籠った奴になりたくない
そう嘆いているのだ

そして風は死ぬ

もう来ないのかと
待っていた
そう
春の風は止まない

グオオ
グオオ
グオオー

風は心の底から
運の悪さを
低い声で窓も揺らす

そして風は死ぬ

空を吹いていれば
いいものを
たまたま
俺のいるところに

グオオ
グオオ
グオオー

嘆く春の風は
死骸になり
俺の胸を積もりだした

やがてその重さに
俺は耐えきれず
マスクを忘れ飛び出した

#詩

ワオ!と言っているユーザー

#君が落ちて来た

スレッド
君は突然にさよなら
追いかけられる場所でないところへ

猫の悪戯で落ちて来た一枚の写真
今でも若い君 変わらない君
僕はもう身体も心も変わってしまった

取り戻せない青空
痛くても声も涙も出ない悲しみが…

想い出になった君に辿り着いても
「どちら様ですか?」と
君は笑いもせずに言うのだろう

#詩

ワオ!と言っているユーザー

スレッド
自分を愛していないとか
そんな話ではない

僕が僕でいない僕を
可哀想に思い始めたのさ

ひとの輝きばかりに眩しくなり
世間という椅子に座り
拍手を送ることばかり上手になり
自分からは何も光を放つことなく
足元さえ真っ暗で
どこに居るのかも分からず
誰かが生きる僕になっている

光放つ者から勇気をもらっても
僕のいつかきっとは
いつかきっとのまま
始まりもせず終わりもせず

それならどうなりたいの僕?

まずはそこから始めよう
考えることが僕になるから
思うことが僕になるから

もっともっと僕を探す
誰にでも引けるスタートライン
勇気なんていらない
踏み出した足音を響かせるだけさ

僕が僕へ近づいている

#詩

ワオ!と言っているユーザー

#蝸涎詩

スレッド
361°のview
カランと氷が沈む勇気
見つめる未来に
ぷかぷか浮かび出す強さ
テーブルに涙の蝸涎
引き摺り進むリアルの光

#詩

ワオ!と言っているユーザー

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