鏡
6月
11日
やさしいあなたの笑顔や悲しい顔を
わたしはいつも見てきたから
この二十二年という年月をふり返ると
とても感慨深いものがあるわ
ちいさい時からきちょう面で
わたしを隅から隅まできれいに
拭いてくれたあなた
お陰でわたしは心地よく
家族のみんなを映すことができたの
鏡として生まれてきたことに
幸せを感じていたのよ
お母さん、わたしが今度
家へ帰ってきた時に
鏡が汚れていたらゆるさないわよ
はいはい、わかりました
大丈夫ですよ
ずっと大事にしていたのを
知っていますからね
わたしもできることなら
一度でいいからあなたのように
涙をながしてみたいそんな気持ちよ
旅立つあなたへ
二十二年間、幸せをありがとうね
そしてあなたの幸せをずっと願って
わたしはここにいますから
さあ、いってらっしゃい
涙を拭いて