マウント・セント・へレンズ
5月
20日
シアトルはMount St. Helensのほぼ真北に位置し風はほとんどいつも西から東に吹いているので、その日シアトルには噴火の影響は全くなかった。その日たまたまシアトルの東にあるワシントン州第3の都市スポケンを訪ねていた会社の従業員に聞くと、晴天だった空がたちまち真っ黒な噴煙で覆われ、まるで夜のように暗くなって、ヘッドライトを点灯しないと車を走らせることが出来なかった、とのことだ。彼は一瞬この世の終りではないか、と感じたそうだ。道路には火山灰が数センチ積り、前の車が立てる砂塵がもうもうとして前がよく見えず、車内でも息苦しかったとのことだ。
Mount St. Helensはとても美しい山で、シアトルに来てふもとのSpirit Lakeは是非訪ねてみたいと思っていた場所だが、この噴火により2950メートルの山が2550メートルになってしまい、会津磐梯山のような大きな傾いた火口が出来て山も湖もすっかり形を変えてしまった。
噴煙は各地に火山灰を降りまきつつ地球を一周し、約1週間後にはわがやでも盛りだった石楠花の葉にうっすらと火山灰が積っていたことを覚えている。
シアトル近くには約90キロ南に標高4400メートルの富士山に似たMount Rainierがあるが、これも活火山で今はまだ兆候はないもののいつ噴火するかわからない。記録に残る最後の噴火は約150年前とのことだが、現在も活動中のMount St. HelensもMount Rainierも、北アメリカプレートの下に潜りこんでいく太平洋プレートがマグマを押し上げて噴火させるメカニズムは同じだ。Mount Rainierはシアトルにずっと近いだけにこの山が噴火したら、風向きによっては火山灰の直接的な被害はなくても周辺の川が火山灰や倒木によりせき止められ、それが決壊して洪水や土石流を引き起すなどしてシアトル周辺も被害を免れないだろう。
災害は忘れた頃にやってくる。シアトルには断層が東西に走っており、太平洋プレートが潜りこむことによる地震も油断出来ない。Mount St. Helensの噴火30周年にあたり、当分の間太平洋プレートがおとなしくしていてくれることを祈るばかりだ。
投稿日 2010-05-25 02:36
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2010-05-25 13:13
ワオ!と言っているユーザー