くまごろうのサイエンス教室『Proxima Centauri b』
9月
2日
2016年8月25日、イギリスのクイーン・メアリー大学などからなる国際チームPale Red Dotは太陽系から4.22光年しか離れていない最も近い距離にある恒星プロキシマ・ケンタウリに生命が存在出来る可能性のある惑星プロキシマbが存在することを確認した、とイギリスの科学雑誌『Nature』に発表した。このチームは南米チリにあるヨーロッパ南天天文台の高精度視線速度系外惑星探査装置を使用してプロキシマ・ケンタウリの揺らぎを観測し、その揺らぎを起こさせる惑星プロキシマbの存在を確認したのだ。観測データによりプロキシマbの質量は地球の1.3倍、公転周期は11.2日で、表面に液体の水が存在出来る領域にあることが明らかになった。
太陽に最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリはケンタウルス座にある三重連星のひとつだが、三重連星の中では最も小さく太陽の12%程度の質量しかない。また発する光は弱いが、プロキシマbはプロキシマ・ケンタウリから750万キロメートル離れた軌道を周回しており、これは太陽と地球の距離の5%しかないため、地球が太陽から受ける量の約65%に相当する熱を受けていると推測されている。もしもプロキシマbに大気があれば、表面温度はマイナス30℃からプラス30℃の範囲であると予測され、地表に液体としての水があって、生命が存在する可能性があるが、紫外線やX線が強烈な厳しい環境のようだ。またプロキシマbは最も近い地球のいとこと言っても、ボイジャー1号と同じ秒速17キロメートルのロケットで旅しても7万7千年もかかってしまうので、人類が訪問することは叶わない。