LANケーブルは、8本の芯線を、4組に寄り合わせた構造となっており、
両端をプラグに「カシメ」で固定した構造となっています。
固定はビニール皮膜の上から槍状の金属ピンを差し込む構造となっており、
ハンダ付けなどの溶着接続ではなく、単なる「接触」で導通をさせています。
このため、この接触部分の出来不出来を確認するため、静止状態ではなく、
この接触部分に動態ストレスをかけ、接触が正常になされているかの試験をベンディング
テストと呼びます。
この試験には、通常の市販されている安価なLANケーブルテスターでは出来ず、
一定周期のパルス電圧を連続して加え、ケーブルを動かしながら抵抗値を測定します。
実際には専用の測定器に固定されたジャックをつなぎ、それにLANケーブルのプラグを
挿入して検査を開始します。
最初に静止状態で抵抗値を読み取ります、4対のため4回路分の表示があります。
まず、この抵抗値が正常範囲にあることを確認します。
※純度の高い(99.999%)銅線の抵抗値は極めて低いので、測定は四端子法と呼ばれる
特別な方法での測定です。
ここで、プラグ部分を押え、ケーブルを上下・左右に強く曲げるように動かします。
※この状態がBEND(折り曲げる)行為であるため、この名称になりました
さらに、ケーブルを引っ張ります。
この試験中に抵抗値が規定の値以上になったり、断線した場合には不良とみなします。
このため、作業者は数値を凝視するか、一定のレベルのしきい値を設定し、音響での
合否を判断する設定をします。
繰り返しますが、このベンディングの間の数値が重要で、静止状態の測定ではありません。
更に厳密な測定は、4回路、8本の芯線をシリアル(連続)状態に結線し、1回路と
して同様の試験を行います。
ここで瞬断(瞬間的に断線状態)の有無をチェックします、瞬断がベンディングと
関連するなら、そのケーブルには問題があると判定します。
このテストは極めて厳しい試験で、LANケーブルの仕様は蓄積型通信であるため、
安価なLANテスターや、FLUKE社の抵抗試験(スキャニング)でPassした製品でも
不合格になるケースがあります。
これは近年、LANケーブルがその構造のわりに低価格であることなどから、蓄積型
通信とは異なるプロトコル(通信方法)で使用されるケースが増えたため、その
対応試験として行っています。
特に細番手と呼ばれる極細のLANケーブルでは、上記の厳しい試験では不合格や、
試験はPassしたものの、経年変化(3-5年)で導通が不安定となるケースがあり、
用途によっては選定に注意が必要となります。
わかお かずまさ
VegaSystems
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