ユニカ
11月
9日
ユニカとは、デンマーク語でunik、ドイツ語でunikat、英語ではuniqueと書き、作家物を意味する。実は、マイセンにしてもセーブルにしても、20世紀に入るまで、磁器作品には作家のサインが入っていない。
磁器作品に作家のサインを一番最初に入れたのは、ロイヤルコペンハーゲンなのである。それも、量産品と区別するために、通し番号と制作年月そして、サインを入れる。これをアーノルドクローが1885年(年号マーク、A)から始めたのである。ただし、本当に1885年からこの3つが入っていたのかは、疑問である。私は、一番早いので1887(年号マーク、C)年の年号マークが入っていた皿を見たことがあるが、通し番号はなく、作家のサインもペインター番号であった。ただ、1889年(年号マーク、E)製の皿には、全て入っていた。
とにかく、量産品に比べて珍しいし、数も少ない。そして、ロイヤルコペンハーゲンがオフィシャルにユニカと認めたのであるから、それなりの作家であり、作品であるが、今回の花瓶の作家のサインはよく判らない。
描かれているのも、おそらくバナナの葉と花だと思うが、葉が小さいような感じもする。絵も、大胆にざくっと描かれており、繊細さがない。
しかし、この花瓶はレアさは、色である。この1892年では、まだ、青以外の色を釉下彩で出すのは難しく、ユニカの作品でも青を使ったものが多い。もちろん、他の色を使ったものがないわけではない。でも、青がほとんどで、一部ピンクが使われているというようなものがほとんどである。
この花瓶で使われている色は、緑と黄色である。それも高さ約35cmと大きい。そのため、良く見ると、ところどころに釉薬が焼けているところがある。色に対しての温度調節が、まだ良くわからなく、試行錯誤していたことがわかる。