埋木舎
4月
7日
15年間、14男の故に捨て扶持の微禄に甘んじた不遇時代である。
彦根城内堀沿にある小さな庵に住居を構え、
「埋木舎」(うもれぎのや)と名付けた。
直弼の詠んだ和歌を紹介。
〜世の中をよそに見つつも埋れ木の
埋もれておらむ心なき身は〜
実際は埋もれる暇もなく文武両道に励み、後の大老の大任を果たす見識と覚悟とはこの冬の時代に培われたものだという。
信長が天才的直感に負うところが大きかったのに対して
直弼は長年の蓄積された教養から救国のための一打を打ち出していった。
どちらも官僚制度を突き抜けた独裁だったことには変わりはない。
日本の風土に独裁はどうも似合わないらしい。