「三千世界の烏を殺し
ぬしと朝寝がしてみたい」
高杉晋作が作ったという、
謡曲の歌詞である。
ごろつきの様に箱根の関所破りまでしでかした晋作は
「狂」の境地にいた。
数週ぶりに「花燃ゆ」を見たのは
その晋作の狂を見物したかったから。
都大路を賀茂まで天子が行幸する際に
第14代将軍の徳川家茂背後からお供を仰せつかっていた。
京都の民衆は顔を上げることすら恐れて土下座し、ひれ伏しているとき、
晋作だけは顔を上げていたという。そして、
「いよう。――」
花道を進む役者に大向こうから声をかけるように叫んだという。
「――征夷大将軍」
「家康以来、天下の主に対してこれほどの無礼の挙動をとった男もない。
そういう事件も、徳川3百年間、一件もなかった」と司馬遼太郎は書いている。
そんな晋作の「狂」振りを見て見たかったのだが、
ドラマを見る限り常人の域を脱していない。
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