🌍 AXCR 2025 実戦レポート
サンピロ点眼薬の使用と視覚対策(ドライバー視点)
作成者:山崎元彰/車両 #140 e投票 FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES
🔰 はじめに:視覚は武器である
クロスカントリーラリーでは、ドライバーは目が命だと僕は思っています。
土埃にまみれた中での前方認識、穴の深さや形状の確認、大きな石や切り株の発見、水たまりの深さの推測など──
0.1秒単位で物体を視認・判断し続けることが求められるのが、この競技の本質です。
これは、あらかじめ整備された路面を周回するサーキットレースとは全く異なるスキルです。
そのため、年齢に負けない視力、そして動体視力にはとことんこだわってきました。
僕は「視力2.0の人と1.2の人では、得られる情報量が倍近く違う」と実感しています。
これは、老眼や遠視、乱視が出始めた64歳の僕が挑戦した「視覚強化のための実戦レポート」です。
🧪 サンピロ点眼薬について
サンピロ(Sampiro)は、一般名「ピロカルピン塩酸塩」を主成分とする点眼薬で、
本来は緑内障や縮瞳(瞳孔収縮)治療に用いられています。
近年では、**老眼対策の“調節賦活薬”**として注目されており、以下のような効果が期待されます:
軽度な縮瞳により被写界深度(ピントの合う範囲)が拡大
近距離視力の一時的な改善(約5時間)
軽度の遠視・乱視にも補正効果を感じるケースがある
ただしこれは、静的な環境下での効果を前提とした薬剤であり、激しい環境下での使用については慎重な検討が必要です。
🚗 Leg 1(Day 1):サンピロ使用下のSS走行
サンピロ点眼後、一般道や停車時には非常にクリアな視界を得られ、
特に「視界全体がシャープに引き締まる」感覚を得て、軽度の乱視にも明確な効果を実感しました。
しかし、SS(スペシャルステージ)走行が始まると異変が発生しました。
📸 視覚的症状:
「まるでシャッタースピードの遅いカメラで撮影した動画を見ているようだった」
高速走行+縦横の激しい振動により、視界に残像が生じる
目がピントを合わせようとするが、脳の視覚処理が0.1秒単位で遅延
小石・段差・水たまりなどの瞬時判断に支障
結果として、視覚情報が誤認・遅延し、走行安全性が著しく低下
❌ 結論(Day 1):
サンピロは停車・安定走行では有効だが、ラリーのような高負荷・高頻度の視線移動環境では危険を感じた。
🥽 Day 2以降:サンピロを中止し、専用眼鏡へ
✅ 対策:
サンピロの使用を中止
上部が度なし、下部のみ老眼補正の特製眼鏡を装着
✅ 結果:
視界の残像感・揺れによる違和感が完全に解消
0.1秒単位の視覚判断も安定
2023年走行時と比べて、明確に視野の改善を実感
※視力測定:左1.5、右2.0(アロニアサプリの長期使用の影響も?)
サンピロ点眼薬使用評価:
停車時・日常走行・高速道路
◎ クリアな視界、乱視補正効果
◎トンネル内でもテールランプの視認性が良い
SS走行(高速+激しい揺れ)
✕ 残像・視界遅延が顕著に出現
総合的な安全性
〇 一般走行のみ限定的に有効
🔍 提言と課題
サンピロは**“静的視界の補助薬”として優秀だが、
ラリーのような高速・高揺れ・高判断負荷環境**では、視覚処理に破綻を来す恐れがある。
ラリードライバーのように0.1秒単位で視覚判断を求められる立場では、
薬剤よりも“専用設計された眼鏡”など物理的補正が有効。
一方で、メガネは曇りやすく、乱視矯正によって物体サイズが変化するなど、ラリーに不向きな点も残る。
💡 今後の検討課題:
ICL(眼内コンタクトレンズ)による恒久的視力矯正が理想だが、64歳では国内手術例がほぼなく選択不可
今後は「加齢に伴う視力変化と、ラリー競技の要求水準のすり合わせ」が重要になる