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Forest Aesthetics 森林美学 苔の褥

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               ...                                           © Daisuke Kawai



苔が覆っている
樹木の根を
岩石の壁を
黒土の表を
みっしりと覆い尽くしている

それは原初的な
きわめて原初的な繁茂の姿だ








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Forest Aesthetics 森林美学 水が流れている

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               ...                                           © Daisuke Kawai



水が流れている
しかし岩上にむした緑苔が剥がれることはない

この風景が意味することはなにか
わたしたちはそこからなにを読み取るべきか

ありふれたものから,気高いものを
かたちをなさないものから,美しいものを

森羅万象を認知し,意識し,展開させること
それが森を観るということの愉しみ,その真髄

乾ききった死の世界を豊饒の大地に変えたのは水の動き
その水に呼応し,世界を紡いでいった小さなものたちの在り方

冬の滝の岩壁にはりついた苔の群れのひとつひとつが
雲霧のごとき飛沫をとらえ,無数の冷たいオブジェを生みだす

やがてそれらが季節と共に流れの一端に加わり,
海へ向かって一体化し,
ふたたび雨霧として舞い戻るドラマには
科学と芸術の幸福な両立がある

諸行無常
できあがったものが硬化してしまわないよう
自然は常に永遠の活動を働かせている

森の底を水が流れているように
人のなかにも水が流れている






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Forest Aesthetics 森林美学 青い花

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               ...                                           © Daisuke Kawai



そうそれは森のどこにでもある
いたってふつうの青い花であり
野生の紫陽花というだけのもの

しかしどうしてかその花が袖を引く
くいくいと袖を引く
立ち去ろうとしても,できない
見過ごすことができない

凝視することによって顕現してくる青は
それまでの青とはどこか異なって見える

聖なるもの
それはこうして不意に顕れるものなのか





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Forest Aesthetics 森林美学 花の霊性

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               ...                                           © Daisuke Kawai



ねえ,これってエクトプラズム?
そんなことをいった少女がいた

非科学的なことをいうな
そんな非難の声が聴こえてきた

ごもっとも

ただそれがもし,眼には見えぬ聖なるものへの
畏敬から出た素の言葉であったとしたならば?






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Forest Aesthetics 森林美学 篝火

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               ...                                           © Daisuke Kawai




森の底に差し込んだ幽かな木洩陽を受け
奇天烈なデザインを誇っている花の筒が
篝火のようにぽっと浮かび上がっている

銀のストライプは,きっと昆虫を
誘致するための仕掛けなのだろう

案外と昆虫にも美がわかるのかもしれぬ
輝く縦筋が,密や花粉といった
即物的な欲求を刺戟するだけのものと
いったいどうしていいきれる 

なにもこの妖しい美しさに絡めとられるのは
昆虫だけではあるまい,と強く思うのである







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Forest Aesthetics 森林美学 見る,見られる

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               ...                                           © Daisuke Kawai


森の底にたたずんでいた蘭
はなやかな色あいなれど
どこか妖しい

凝視していると
向こうもこちらを見返していることに気づく

こちらが見ているだけではない
あちらもこちらを見ているのだ






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Forest Aesthetics 森林美学 しるし

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               ...                                           © Daisuke Kawai



森の底をつたう小さな流れにたゆたう白いふくろ
鳥の排泄物
尿酸の固まり
ここに生きものひそんでいるしるしだ

巣孔の中から,親鳥がくわえて運び出したもの
視線を足下から頭上へ移す
ホラ樹の幹にあいた巣孔

巣下への糞の散乱は
そこに脆弱な生のあることを指し示す
だからふだんはもっと遠くに捨てにいくはずなのだろうが
眼下は水洗だったせいだろうか
親はひょいと孔から顔を出すと,そのまま放り出していた

生きもののいるしるし
鳥の糞だといってしまえばただそれだけのことだが
こんなものでもじっと観ていると
いろいろな想念が湧いてくる

生きもののいるしるし
それじたいがアートなのだ





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Forest Aesthetics 森林美学 びいどろ

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               ...                                           © Daisuke Kawai



雨の日の森のびいどろ
無数の水の硝子窓を前にして,わたしはしばし考える
これらはいったいどこから来て,そしてどこへゆくのか
もともとはどういうものであって,これからなにに変わるのか

深い谷や湖面から湧き上がっていた霧
森から落ちてきた水滴とは
はたしてどのような関係にあるのだろうか
いま,わたしの身体が欲している水と
どのような結びつきがあるのだろうか
それよりもなによりも
このびいどろの妖しさときたらなんなのだろうか

めぐる水のはるかな旅路に陶然とし
水をめぐる哲学を前に悄然と立ち尽くす
水の玉を限りなく美しいものと感じ
限りなく善きものであると解し
まごうことなき真実の存在であると受けとめて
それを心から讃えるとき
目の前でゆらいでいる蒼ざめた球体が
無数の神さまのように視えてくる

ああ,そうか
やっぱりそういうことだったのかと
心の深いところでどういうわけか得心し
祈るような思いで感性の筆先に神経を集中させる




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Forest Aesthetics 森林美学 ぎやまん

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               ...                                           © Daisuke Kawai



雨が降っている
樹の幹を,天の水が伝い流れている
雨の森には,無数の小さな川が生まれるのだ

その足下に,ぶくぶくと泡が立っている
その繊細な盛り上がりこそは,ぎやまんなのである
無数のステンドグラスなのである

そこには見えないはずの森の青が映っている
いったい,この宗教的なテイストときたらなんだ

自然のいちばん繊細な手仕事は
小さなもののなかに見られる




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Forest Aesthetics 森林美学 ぷるぷる

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               ...                                           © Daisuke Kawai


雨が降る
霧が満ちる

楓の稚樹の葉の上に
ぽつり ぽつりと落ちた
透明なしずくが結びあって膜をはり
ぷるぷる ぷるぷる
ゼリーのようにゆれている

水の気配に満ちた森は
こうして生まれるのだ

豊穣の原点を
見たような思いがした



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