今年の読書(133)『糸切り』吉永南央(文春文庫)
12月
19日
当初は、身近な事件を解決する短篇集でしたので、「おばあちゃん探偵」の登場かなとみていたのですが、<草>のほのぼのとした人情味に魅かれ読み継いできています。
今回は、大事にしている備前焼の皿の箱紐が切れたことにより、真田紐を買い求めて商店街、通称「ヤナギ」に出向いたところから、物語は始まります。
「ヤナギ」は、数軒しかない小さな商店街ですが新鋭女性建築家<弓削真澄>が、改装工事の設計を進めていますが、世界的な陶芸家の作品が絡んで、<草>は隠された紅雲町の歴史と人間関係に触れ合うことになります。
タイトルもそうですが、いつもながら陶器に対する<草>の愛情がよく描かれており、ほのぼのとした思いを読者に残しながら、さりげなく<草>の日常に戻り、建築家に対する目線も鮮やかで、楽しみながら読み終えました。
投稿日 2016-12-19 21:58
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2016-12-19 22:00
ワオ!と言っているユーザー