今年の読書(125)『疑心:隠蔽捜査3』今野敏(新潮文庫)
10月
9日
主人公<竜先伸也>は47歳、1作目で息子の不祥事でキャリアとしての道を閉ざされながらも警察を辞めることなく、大森署の署長として左遷された立場で陣頭指揮をとります。
2作目ではたてこもり犯人を、自ら現場に出向き、事件を解決しています。
今回は、アメリカ大統領が訪日するということで、羽田空港を含む第二方面警備本部の本部長として抜擢されますが、階級を飛び越えた本部長の地位は、他の官僚たちの策略だと感じながらも、自分の仕事をこなしていく姿が描かれています。
本部長の秘書として本庁から派遣されてきた<畠山美奈子>に対して、<竜崎>は恋心を抱いてしまい、本部長の責務にありながら、悶々とした気持ちを整理することができません。
警察小説だから事件だけの内容だけではなく、男として家庭を持つ夫として、警察官もごく普通の人間であることを、真正面から切り込んでいる一冊でした。