11月8日 【コラム Vol.17】~夢~
4日の土曜学校国語2の教室では、福岡工業大学短期大学部石塚教授から研究者としてのキャリアやカミオカンデの研究について、また夢を持ち続けることの大切さ、日本語を学ぶ意味や価値についてお話頂きました。その中で、先生が生徒達に将来の夢を聞いて下さいました。スポーツ関係の仕事、研究者、建築家、デザイナー、学校の先生などなど、少し照れくさそうに自分の「夢」を語る皆さんの表情がとても素敵でした。
「夢」は、睡眠の「寝(い)」に見えるもの「目(め)」で「寝目(いめ)」が語源だと言われています。ですから、もともとは将来の希望や理想ではなく、寝ているときに見るものという意味でした。
辞書をひくと、現在は大きく以下の4つにまとめられています。
1、現実の生活においては起こり得ないようなことなどを睡眠中に経験する一種の幻覚。
2、現実をはなれたはかない事柄。
3、社会や厳しい現実から遊離して、暫時享楽する、甘くて楽しい環境。
4、将来実現すればいいなあと思っている(いた)こと、事柄。
4の、「夢」が将来の希望や理想という意味で使われるようになったのは近代以降です。
外国からさまざまなものが入って来た時、言葉も一緒に持ち込まれました。その中の一つが「Dream」です。将来の理想や希望という意味は日本語の「夢」にはなかったので、新しい意味として追加されたのです。新しい単語として追加するのではなく、もともとの意味に加えられたのですね。
英語の「Dream」を、日本語として馴染みのある言葉に翻訳していく過程で加えられた「夢」の意味。
その、人生を考える上で大切なキーワードになってくる将来の希望や理想としての「夢」を、アメリカで暮らす皆さんが、日本語を学ぶBCA土曜学校で語る姿を見ながら、それぞれにいい未来が拓けますようにと願いました。
「夢」は人の人生を左右するほどの大きな力を持つものだと思います。日本語を学ぶ意味を自分の将来につなげて考えたこの時間が、将来に活かされればと思います。
英語も日本語も話し、アメリカの文化も日本の文化も理解できる皆さんが、いろんな形でアメリカと日本をつなぐ日がきっと来ることでしょう。
その日を迎えることが、今の私の「夢」です。
(写真は、漢字の成り立ちが分かる「夢」。並び生えた草に人の目、そして夕日。)