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くまごろうのひとりごと

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窓の話10『遮熱性』

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昔の日本の住宅は蒸し暑い夏を快適に過せるように工夫されており、十分な通気が行われるように設計されていた。夏にはふすまや障子を取外し、室内には外の空気がいくらでも入るようになっていた。その分冬は寒く、厚着しなければとても過せない状態だった。1950年頃の日本の住宅では冬の熱源と言えば火鉢にこたつが中心で、寝る時には湯たんぽが欠かせなかった。

1960年代の高度成長期とともに電気、ガス、石油ストーブが広く使われるようになり、またアルミサッシュも普及して雨戸やガラス障子の隙間風が少なくなって冬はかなり過しやすくなった。その後住宅向けの冷房装置も普及するようになり、住宅設計も昔の十分な通気を確保するような隙間風の多い設計より、高気密・高断熱住宅が主流となっている。

このような高気密・高断熱住宅では窓やガラス戸からの夏の日射による輻射熱が大きな熱源となり、対策が必要になってくる。大きなひさし、すだれ、よしず、藤だななどは日射による輻射熱をさえぎる方法ではあるが、土地の広い農家の住宅では適していても都会の狭い敷地に建てられた住宅や高層住宅では実用的でない場合も少なくない。またこれらの方法では窓を通しての視界が制限されることも窓本来の目的である透視性を損なう。室内側に取付けられたカーテンやブラインドは輻射熱を室内に入れてしまうので、遮熱のための効果は十分とは言えない。

先に窓の話その6『ローイーガラス』で述べたが、夏の日射による輻射熱を防ぐ目的でペアガラスの第2面に銀や金属酸化物を蒸着させた低輻射ガラス(ローイーガラス)が開発されている。ローイーコーティングを施していないガラスパネルでもガラス自身に多少の遮熱効果があるので、単なるペアガラスでもガラスを透過して室内に侵入する太陽からの輻射熱は73%程度であるが、第2面に蒸着膜を形成したローイーガラスでは約38%であり、更に高性能なローイーガラスでは30%以下まで削減出来るものもある。これに対し、単なる1枚ガラスでは太陽からの輻射熱の85%以上が室内に侵入する。

夏の日射による輻射熱を防ぐ点については、第3面にローイーコーティングを施したガラスでは、内側ガラスに吸収された輻射熱が室内に再輻射されるため、遮熱性は第2面にコーティングされたガラスより大幅に劣る。更に同一の高性能ローイーコーティングのペアガラスでも、第4面の表面温度は第2面にコーティングされている場合には28℃であるのに対し、第3面にコーティングされている場合には37℃となり、後者では熱いガラスからの再輻射熱により一層不快さが増す。

なお遮熱性だけに限って言えば色付ガラスは第3面にコーティングされているローイーガラスと同程度の遮熱性があるが、透視性が40%程度まで低下して窓の重要な機能のひとつを損なうと共に、室内側ガラス表面温度が第2面にコーティングされているペアガラスより高くなるので、第3面にコーティングされているペアガラスと同様に不快に感じる。

ひとつの例として幅1,800ミリ、高さ2,000ミリのスライディングパティオドアに関する夏の冷房費を比較する。このドアに1日に6時間の日射があるとすれば、このドアを通しての1ヶ月間(31日)の日射熱取得量は太陽からの輻射熱を725 watt/m2と仮定すると下記のように計算される。

Q = 725/1,000 x E x A x H
= 0.725 x E x 1.8 x 2.0 x 6 x 31
= 485.46 x E

Q: 日射熱取得量KWH
E: ドアの輻射熱吸収率
A: ドアの面積 m2
H: 時間 hours

従って輻射熱吸収率が86%である1枚ガラスの場合の輻射熱取得量は417 KWH、73%の単なるペアガラスでは354 KWH、第2面にローイーコーティングされている38%のペアガラスでは184 KWHとなる。電気代を1 KWHあたり20円とすれば、単なるペアガラスでは1枚ガラスよりも1ヶ月に1,260円、ローイーコーティングのペアガラスなら4,660円の節約になる。これはひとつのパティオドアに関してであり、このようなパティオドアや窓が南向きにいくつもあれば省エネルギー効果が少なくないことがわかる。
#PC #テクノロジー #ネット

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KUMA
KUMAさんからコメント
投稿日 2011-02-20 09:28

夏は、外にある日よけで温度アップは防げますが、寒風吹きすさぶ、この時期は大変です。
北西の書斎は冬は使わず、北東にあるサーバ室に逃げこんでおります。

マンション購入時にこのような知識があればガラスを交換したのに残念です・・・・

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くまごろう
くまごろうさんからコメント
投稿日 2011-02-20 19:07

窓に関する正しい知識が広まって、本当にエコロジカルな住宅や商業建築が増えることを期待しています。

日本では大手住宅建材メーカーが省エネルギー窓を販売していますが、性能についても、また将来の『窓の話』で取り上げるペアガラスの耐久性のことなど、まだまだアメリカの高性能窓に学ぶことがあります。

窓のことをよく勉強された高山のお施主は、昨年私からアメリカ製高性能窓を購入して下さいました。

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