窓の話9『結露』
1月
13日
このような窓ガラスの内側の結露はよく冷えたビールのジョッキの外側と同じで、冷えた物体の表面温度が周辺の水蒸気を含んだ空気の露点以下になると発生する。例えば室温が20℃で相対湿度が60%とすると、蒸気表によればこの湿った空気の露点は11℃であり、相対湿度が80%なら16℃となる。あまり風の強くない気象条件のもとで外の気温が0℃で室内温度が20℃の時、3ミリ厚みの1枚ガラスの窓では室内側ガラス表面温度は約5℃なので、相対湿度が40%でも結露する条件を十分に満たす。高性能なペアガラスでは同じ条件で室内側ガラス表面温度は約16℃となり、室内の相対湿度が80%近くまでは結露しない。
これまでの話はガラス中心についてであり、窓枠が熱を伝えやすいアルミの場合にはガラスは結露しなくても窓枠が結露する恐れが高い。このような問題を回避するためには断熱性の高い木製窓や塩ビ樹脂の窓枠を使えばよい。アルミサッシュでも屋外側と屋内側のアルミフレームを合成ゴムなどにより熱的に絶縁したサーマルブレイクと呼ばれる窓枠もあるが、断熱性は木製窓や塩ビ樹脂には及ばない。
気温が0℃の場合、相対湿度が100%であっても1 Kgのこの空気に含まれている水分は0.004 Kgであり、この空気を20℃まで暖房すると室内の相対湿度は30%まで低下する。そのため室内の空気がカラカラに乾燥していると感じ、人は加湿器を使ったりする。確かに乾燥し過ぎた空気は喉が痛く感じられたり、肌の潤いがなくなったりして快適とは言えない。しかし建物にとっては湿度の高い環境はカビが発生しやすく、壁の裏側にある断熱材が壁内結露する恐れもあり好ましくない。
ミネソタ大学における研究によれば、寒冷地における住宅での健康ならびに建物の保全の両者が妥協しうる室温20℃における相対湿度は、屋外の気温が‐29℃なら15-20%、‐18℃なら25-30%、‐7℃なら35-40%というデータを示している。このデータから類推すれば外気温が0℃の場合でも相対湿度は50%以下が好ましいであろうと推論出来る。
アメリカのある研究データによれば、シャワーを浴びると1回に付き0.24リットル、クッキングをすると1回に0.47リットル、人が呼吸すると1日に1.42リットル、植物の鉢植えは1日に0.47リットルの水分を発生する。4人家族で鉢植えが3本あるとすれば、1日に9-10リットルの水分を発生させていることになる。150m2の広さの住宅における居住空間を375m3とすると、もしも換気が一切なければこの家族の生活によって1日に発散される水分は0.018-0.020 Kg/Kg-Airとなり、20℃における相対湿度100%の水分保有量0.015 Kg/Kg-Airを超えることになる。実際にはシャワーを使う際やクッキングする時は換気扇を回すのが普通であり、また人の出入りがあるので、生活によって生ずる湿度はこれよりは少ないだろうが、気密性の高い住宅では20℃における相対湿度50%の状態は比較的容易に達成されるであろう。
2010年1月に放送されたNHKの『ためしてガッテン』では、人間は暑くも寒くもない環境では体の湿度センサーが鈍感であることを実験的に示している。この番組ではやたらと加湿器を使って建物をいじめるより、ドライマウスならのど飴、、ドライアイなら目薬、乾燥肌にはクリームによる保湿を勧めている。でもこんなことを言うと加湿器メーカーから営業妨害だと文句を言われるかもしれない。
投稿日 2011-01-13 07:53
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2011-01-13 17:05
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2011-01-13 17:18
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2011-01-13 18:15
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2011-01-13 19:00
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2011-01-13 19:27
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2011-01-13 20:19
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2011-01-14 00:38
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2011-01-14 02:26
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2011-01-14 12:07
ワオ!と言っているユーザー