写真は高性能ペアガラスの一例である。ペアガラスでは2枚のガラスの間に挟むパーツをスペーサーと呼ぶが、スペーサーは金属製が一般的である。しかし金属は熱を伝えやすいので、断熱性が重要な極寒冷地向けには合成樹脂製のスペーサーも開発されているが、有機ガスを発生するなど素材特有の欠点もあり温帯地域の窓としては普及していない。同じ金属でもアルミニウムのスペーサーはステンレス製に較べて11倍も熱を伝えやすいので断熱性を低下させ、またガラス周辺部で室内側に結露を起す恐れがあるため、高性能なペアガラスではステンレス製スペーサーを使用する。
スペーサーにより形成されるペアガラス内部空間をエアスペースと呼ぶが、エアスペースに存在する空気はこれを生産した工場の空気であり、常にある程度の水分を含んでいる。この水分が気温の低下した時に結露を起さないように、スペーサーの内部にはシリカゲル、モレキュラーシーブのような乾燥剤を充填してエアスペースに含まれている水分を除去するのが一般的である。生産工場の空気を使用せず、乾燥したアルゴンガスをエアスペースに充填する場合でもスペーサーに乾燥剤を充填する。
ペアガラスのスペーサーをよく見ると、4隅では直線のスペーサーを突き当てているタイプと、写真のようにコーナー部分が湾曲しているタイプがある。前者の方が製作コストを低減することが出来るが、コーナーが湾曲しているスペーサーでは寒暖の差によるスペーサーの伸縮による応力をコーナー部分に集中させない。この点は後述するペアガラスの寿命に少なからぬ影響を及ぼすので注目に値する。
ガラスとスペーサーの接着はガラスパネルメーカーにより使用する接着剤が異なり、またひとつの接着剤のみであるか、あるいは2段階の接着方式を採用しているかの違いがある。ガラスとスペーサーの接着が少しでも破損すると、エアスペースにアルゴンガスを封入している場合にはこれが漏洩し、またどのようなペアガラスの場合にも水蒸気を含んだ外気がペアガラス内部に侵入し、内部で結露する問題を起すことになる。このような内部結露を起すと修理することが出来ず、ガラスパネル全体を交換しなければならなくなる。そのため、窓を選ぶ際にはガラスとスペーサーの接着方式をよく検討する必要がある。しかしカタログに記載されているのはまれであり、消費者が特段の努力をしない限りこの接着方式を知ることは出来ない。
ペアガラスの接着剤として一般的に使用されているものにはポリイソブチレン、ポリサルファイド、ポリブチレン、ポリウレタン、シリコンなどがあるが、ガラスとスペーサーとの接着力、水蒸気分子の透過性、紫外線などに対する接着剤の耐久性などが重要な因子となる。ペアガラスで重要な水分子の透過性について言えば、ポリイソブチレンが最も低く、ポリサルファイドはその約10倍、ポリシリコンは約100倍である。しかし接着力およびその耐久性についてはポリシリコンが最も優れており、これらの特徴を考慮して高級な窓のペアガラスにはポリイソブチレンの1次シールとポリシリコンの2次シールの組合せを採用しているものもある。
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投稿日 2010-09-13 09:03
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投稿日 2010-09-13 18:16
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投稿日 2010-09-30 15:27
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投稿日 2010-10-01 12:41
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