光ファイバー挿入損失法における数値について

光ファイバーの性能試験において、挿入損失法での評価に用いられるのは「dB」であり、
機器が表示する受信レベル(dBm)の絶対値は必ずしも重要ではありません。
 
挿入損失法は、基準となるケーブルを用いて、基準と被測定ケーブルとの損失差を評価する
手法です。そのため、表示されるdBmの絶対値そのものではなく、**基準との差異(挿入損
失)**が評価の対象となります。
 
測定機器は、光源(Light Source)と受光部(Power Meter)から構成されており、どちら
も電池駆動のため、電源の安定性や起動後のエージング期間において出力および受信感度が
不安定な場合があります。さらに、コネクタの接合部分に起因する光損失も生じるため、
測定結果には**±1dB程度のバラツキ**が発生することがあります。
 
挿入損失の管理基準としては、損失が20dB以内であれば、実際の運用上大きな問題はない
と考えられます。そのため、測定値がこの範囲内であれば、±1dB程度のばらつきは無視し
ても差し支えないことが多いです。
 
なお、基準ケーブルの測定値については、-4dBmから-7dBmといった範囲でばらつきが見ら
れる場合がありますが、これは機器の発光出力や受信感度の変動が主な要因です。このた
め、機器の絶対的な出力レベルを校正することはあまり意味がありません。挿入損失の評価
では、相対的な損失差が重要であり、基準ケーブルの受信レベルが多少変動しても、その影
響は少ないからです。
 
実際の光ファイバーそのものの損失は極めて低いのが一般的です。挿入損失の多くは、融着
点やコネクタ接続部の不具合に起因します。そのため、接続部分のクリーニングや接続方法
の見直しが、測定精度の向上につながる場合が多いです。
 
 
わかお かずまさ
VegaSystems

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