ベトナム系中国人が日本食で遂げたカナディアン・ドリーム
11月
26日
バンクーバーにもなんちゃって日本料理店が数多い中で、本格的な寿司を出してくれるところ。
一人ゆえ、カウンター席に通された。
目の前で寿司を握っている人はほぼ私と同年齢のNguyさん。
寿司ネタの産地や確保の仕方などを聞いていると話ははずみ、彼の職人としての意気込みにまで及んだ。
学校を卒業後、バンクーバーの日本食店で修業をはじめ、この店を構えたのが13年ほど前。
中国料理との違いとそこから日本料理へと移っていった経緯、彼の視点など聞かせてもらい興味は尽きない。
さらに彼の半生にまで話は及んだ。
もちろん私のそれも話したが、彼の場合、ドラマに満ちている。
ベトナム生まれの中国人の家で8人兄弟の末っ子として育った彼は、2歳の時にカナダに難民として上陸。
戦争で家を失い、着の身着のままボートでベトナムを脱出。
直後に海賊に襲われて、食料やあらゆる貴重品を強奪されたとこと。
多くの人がボートで死んだが、自分の家族がすべて無事だったのは、本当にラッキーだったと話す。
上陸後、父親は工場で働きながら家族10人の生活を支え、
Nguyさんは12歳からチキンの工場で働き始る。
週末には一日中そこで働く生活が高校卒業まで続いたとのこと。
東京の築地まで行ってネタを厳選し、
常に最高級の品やサーヴィスを研究し続ける彼の仕事にかける情熱。
幼少時からのやむにやまれぬ事情が、その仕事に対しての真摯な姿勢を造っていったように見えた。
「働くことは大したことないよ。」と言ってのけたことから。
築地から仕入れたハマチの握りがカウンター越しから突然降ってきた。
確かに絶品の味!