さて、モーセ律法の目的を論ずるにあたり、
議論の前提となるところを先ず確認する所から始めよう。
「モーセ律法は、ユダヤ人に与えられた法体系である。」
この聖書の原則を理解しただけで今日の多くの混乱が解決できるはずだ。
聖日が日曜日なのか土曜日なのかという議論、
日曜日にどこまで仕事が許されるのかという議論に終止符が打たれるはずだ。
なぜならモーセ律法とはそもそも異邦人に与えられたものでも、
教会に与えられたものでもなく、
ユダヤ人のみを対象に与えられた戒めであるからだ。
聖書の3つの箇所からそのことが明らかとなる。
①申命記4:5-8
「見なさい。私は、私の神、主が私に命じられたとおりに、
おきてと定めとをあなたがたに教えた。
あなたがたが、入って行って、所有しようとしているその地の真ん中で、
そのように行うためである。
これを守り行いなさい。
そうすれば、それは国々の民に、あなたがたの知恵と悟りを示すことになり、
これらすべてのおきてを聞く彼らは、
「この偉大な国民は、確かに知恵のある、悟りのある民だ」
と言うであろう。
まことに、私たちの神、主は、私たちが呼ばわるとき、
いつも、近くにおられる。
このような神を持つ偉大な国民が、どこにあるだろうか。
また、きょう、私があなたがたの前に与えようとしている、
このみおしえのすべてのように、
正しいおきてと定めとを持っている偉大な国民が、いったい、どこにあるだろう。」
律法を持っている「偉大な国民」とは一つしかないことが分かる。
全民族の中でイスラエルのみである。
②詩篇147:19-20
「 主はヤコブには、みことばを、
イスラエルには、おきてとさばきを告げられる。
主は、どんな国々にも、 このようには、なさらなかった。
さばきについて彼らは知っていない。
ハレルヤ。」
モーセ律法とそれによる神の啓示の
イスラエルに対する専有性が教えられている。
③ミカ4:4
「あなたがたは、 わたしのしもべモーセの律法を記憶せよ。
それは、ホレブで、イスラエル全体のために、
わたしが彼に命じたおきてと定めである 。」
モーセ律法はホレブにてイスラエルに与えられた。
それを記憶せよとの進めもまたイスラエル人に対するものである。
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